青森県南東部に位置する八戸市。太平洋に面した海岸沿いに風光明媚なスポットが点在するほか、自然豊かな里山も擁しており、海も山も楽しめるのが魅力です。もちろん、その地の利を生かした新鮮な海の幸から、旬の野菜やフルーツまで、食材も豊富。
八戸に住む地元ライターが、八戸で訪れたいおすすめの観光地や、定番&最新のお出かけスポットをご紹介します。
八戸市への行き方は?
陸路では、東北新幹線が乗り入れる八戸駅や、車で高速道路の八戸ICや八戸北ICを目指します。空路の最寄りは三沢空港で、市内へはリムジンバスに乗って1時間ほど。北海道からは海路も利用でき、苫小牧からシルバーフェリーが出ています。
詳しい交通情報を知るなら、こちらのページが便利です。
八戸駅周辺エリア
JR東日本と青い森鉄道が通る八戸駅は、東北新幹線の発着駅でもある、八戸市の玄関口。近年では再開発が進んでおり、新しいスポットも続々登場中。〈ユートリー〉、〈はちのへ農園マルシェ〉、〈FLAT HACHINOHE〉、〈BOUNXI トランポリンパーク〉は八戸駅から徒歩圏内。〈八食センター〉へは100円バスが便利です。
ユートリー
八戸駅と連絡通路で直結する〈ユートリー〉は、八戸観光の出発口。1階のメインホールで出迎えるのは、300年の歴史を誇る国の重要無形民俗文化財「八戸三社大祭」の山車(だし)。毎年7月31日から8月4日の夏祭りですが、こちらでは年中見ることができます。
同じく1階にはおみやげショップがあり、八戸圏域をはじめ、県内の特産品を約2,000点販売しているほか、南部せんべいの実演コーナーも併設。店内には地酒有料試飲機もあり、100円で地酒の試飲ができます。
2階にはレストランや、伝統工芸である南部裂織・南部菱刺の実演コーナーもあり、予約すれば体験も可能。
はちのへ農園マルシェ
八戸駅東口にある〈はちのへ農園マルシェ〉は、2024年4月にオープンしたカフェ。地元産の乳製品やフルーツ、野菜といった魅力的な食材の発信を目的に、商品開発女子部「はちのへポケット」と共同で開発したご当地ソフト、「はちのへ農園ソフトクリーム」が食べられます。
青森県酪農発祥の地・新郷村産の生乳ソフトクリームに、南部せんべいが添えてあり、野菜やフルーツのオリジナルソースをトッピングできます。ソースに使用したのは、生果では出荷できない地場産フルーツや野菜。
他にもコーヒーや地域のフルーツジュースのドリンクを楽しむことができます。
FLAT HACHINOHE
2020年に開業した〈FLAT HACHINOHE〉は、八戸駅西口から約200m、徒歩約3分の場所にある多目的施設。アイスホッケー、アイススケートなどを行う通年型アイスリンクをベースに、移動式断熱フロアを活用することで、アリーナスポーツやコンサート、コンベンションなどにも利用できます。
一般滑走できる時間帯なら個⼈でのアイスリンク滑⾛もできるので、公式サイトのスケジュールを確認してみては。
BOUNXI トランポリンパーク
〈BOUNXI トランポリンパーク〉は、さまざまな種類のトランポリンやアトラクションがある、東北最大級のトランポリンパーク。八戸駅西口から徒歩3分の場所に、2024年5月に誕生しました。
特別な運動スキルが不要なトランポリン。屋内施設で天候にも左右されないため、手軽に楽しく運動習慣を身につけることができます。
利用するためには事前の会員登録が必要。チケットは2週間前からオンラインもしくは受付カウンターにて販売しています。
八食センター
八戸市民の台所として親しまれる〈八食センター〉は、八戸港や近郊で水揚げされた新鮮な魚介類をはじめ、生鮮野菜、県南地方の物産やおみやげなどがそろう巨大市場。全長170mの通りに、約60店舗が軒を連ねます。
館内には「厨スタジアム」と「味横丁」2つの飲食街があるほか、市場で買った魚介類や食材を持ち込んで、七輪で焼いて食べられる「七厘村」も人気です。
公共交通機関での移動なら、八戸駅から八食100円バス・八食200円以下(イカ)バスへ乗車し、「八食センター」下車。
八戸中心街エリア
新幹線の玄関口はJR八戸駅ですが、八戸市の中心街への最寄りはJR本八戸駅。市役所や公会堂といった公の施設をはじめ、百貨店や飲食店ビルなどが集まります。また、〈八戸市美術館〉や、文化観光拠点である〈八戸ポータルミュージアム はっち〉、多目的広場〈マチニワ〉、市営書店〈八戸ブックセンター〉といった文化施設、〈みろく横丁〉をはじめとする個性的な飲食店街も点在しています
八戸市美術館
1986年に開館し、老朽化などを理由に2017年に閉館した〈八戸市美術館〉が、全面建て替えを経て2021年にリニューアルオープン。JR本八戸駅からは徒歩約10分の場所にあります。建築設計を手がけたのは、西澤徹夫・浅子佳英・森純平。
エントランスを入ってすぐ迎えるのは、約18mの天井高を持つ「ジャイアントルーム」。800㎡もの広さがあり、それぞれの展示室を自由に行き来できるハブのような空間です。展覧会を観る用事がなくても、打ち合わせや飲食などにも利用可能なので、気軽に訪れてみては。
八戸ポータルミュージアム はっち
八戸中心街のランドマークになっている〈八戸ポータルミュージアム はっち〉は、2011年にオープンした八戸の文化観光拠点。エントランスをくぐると、八戸を代表する工芸品である八幡馬が出迎えます。
館内にはカフェやショップをはじめ、アーティストや市民の活動シアターやギャラリー、ものづくりスタジオ、子どもが遊べる広場などもあり、さまざまな活動が日々展開しています。1階はっちひろばの「法霊神楽のからくり時計」が毎正時に行う、一斉歯打ちは必見。
同じく1階〈カネイリミュージアムショップ〉には、八幡馬や南部裂織、八戸焼など、八戸の工芸品をはじめ、デザインのいいアイテムが集まります。
八戸まちなか広場 マチニワ
2018年に完成した〈八戸まちなか広場 マチニワ〉は、屋根のある全天候型の半屋外広場。天井の格子や壁材に使用しているのは地元の木材。ガラスの壁と屋根からは光を取り込み、開口部が大きなドアを開け放てば風が吹き抜けます。
広場にある《水の樹》は、八戸青年会議所の街の魅力発信委員会が提唱した「海の樹」をモチーフに、青森県出身のアートディレクター、森本千絵さんが監修したシンボルオブジェ。枝の一部がししおどしになっており、葉に見立てた受け皿の上を水が通るときに音が鳴ります。床面からは噴水やミストが噴出し、水飲み場も完備。また、1時間ごとに水が奏でる音色で定刻を知らせてくれます。
横丁や小路が多い街の真ん中で、それらをゆるやかに繋げる役目を担っています。
八戸ブックセンター
八戸市が推進する「本のまち八戸」の拠点となる〈八戸ブックセンター〉は、全国初の市営書店として2016年にオープン。それまで前例のなかった市営書店を立ち上げるにあたり、ディレクターとして迎えたのは、東京・下北沢にある新刊書店〈本屋B&B〉や、出版社NUMABOOKSなどを経営するブックコーディネーターの内沼晋太郎さんでした。
〈本屋B&B〉のスタイルにならい、レジカウンターではコーヒーやビール、地元のワインなども注文でき、飲みながら本を試し読みできます。店内各所にはイスやハンモックなども設置。
地方の書店ではなかなか扱うことのできない専門書などもあり、本の形式やジャンルにとらわれず、直感的に気になる本を選べるような本棚づくりがされています。屋内なので、雨の日のおでかけにもおすすめです。
八戸横丁
八戸の中心街には横丁文化が根付いており、みろく横丁、花小路、ロー丁れんさ街、長横町れんさ街、たぬき小路、五番街、ハーモニカ横町、八戸昭和通りと、8つの横丁が張り巡らされています。老舗スナックやバーに、気の利いた小料理屋、新オープンのエスニック料理店、夜だけ営業するラーメン店など、新旧さまざまなジャンルのお店が集まっているので、はしご酒するのがおすすめです。
八戸酒類
江戸時代後期の1786(天明6)年に創業した〈八戸酒類〉。中心街にある八鶴工場では、現在は酒造りはしていませんが、かつての名残のある蔵を見学できます。代表銘柄の「八鶴」のラベルに使われている文字は、日本画の巨匠である横山大観が描いたもの。
2022年には、〈八戸酒類蔵元直売所〉がオープン。ロシア風建築とアールデコ様式を取り入れた大正モダンな外観が特徴で、1998年には国の登録有形文化財にも指定されました(登録名称は旧河内屋橋本合名会社)。こちらでは日本酒の試飲や角打ちができるほか、専用ボトルを購入して量り売りをしてくれる「蔵出し通い酒」も提供しています。
八戸クリニック街かどミュージアム
長年産婦人科医師として約2万人の命にかかわってきた館長の小倉秀彦氏が「文化面における社会貢献」と「地域への恩返し」のために、2012年に開館したミュージアム。
浮世絵などの伝統的木版画や、八戸ゆかりの鳥瞰図絵師吉田初三郎の作品、郷土関係の資料等のコレクション、懐かしの映画ポスターなど、所蔵する作品を展示・公開しています。年4回の展覧会期間のみ開館。
更上閣
本八戸駅から徒歩約15分の場所にある〈更上閣〉は、明治30年頃から大正時代にかけて建築・改築された近代和風建築の邸宅。かつては財閥・泉山家の邸宅で、内外を彩る彫刻や意匠は一見の価値あり。2003年には、国の有形文化財に登録されました。
伝統の冬まつりである八戸えんぶりの「お庭えんぶり」や、キッチンカーなどで賑わう「更上閣ガーデンレストラン」などのイベントも開催されます。
長根屋内スケート場(YSアリーナ八戸)
スケートやアイスホッケーなどの氷上スポーツのメッカとして知られる、“氷都”八戸。そのシンボルともいえる存在が、2019年9月にオープンした屋内スケートリンク〈YSアリーナ八戸〉です。中心街から徒歩10分程度、本八戸駅から徒歩約20分、バス停「桜木町」から徒歩約1分と、アクセスの便利な立地にあります。
国内3例目の世界水準の屋内400mスピードスケートリンクのほか、中地には人工芝コートや多目的コートを設置。そのほか、トレーニング室、会議室などを完備しています。
スケートリンクとして利用できるのは7月下旬〜3月上旬(7~9月は競技者向け営業)。4〜6月の3ヵ月間は氷を張らず、展示会やコンサート、コンベンションなどを開催できるスペースになります。
沿岸エリア
八戸市の沿岸には、波打ち際まで広がる天然芝生や、起伏に富んだ岩礁、ウミネコの繁殖地など、ここにしかない景勝地が連なります。日曜の朝のお楽しみ〈館鼻岸壁朝市〉をはじめ、いさばのカッチャたちが出迎えてくれる〈陸奥湊駅前朝市〉や、新鮮な魚介類を購入できる〈みなとっと〉など、海に近い立地だからこその見どころも。
車での移動が便利ですが、公共交通機関を利用することもできます。ここで紹介しているスポットは、JR八戸線の小中野駅から種差海岸駅くらいまでが最寄りの範囲。または市営バスの各路線や、ワンコインバスのうみねこ号などもあります。
種差天然芝生地
1937年に国指定名勝に登録され、2013年には三陸復興国立公園三陸復興公園として、国立公園の一部に指定された種差海岸は、10km以上にわたり多彩な景観が広がる海岸線。なかでも代表する景勝地として知られているのが、種差天然芝生地です。起伏のある天然の芝生が波打ち際まで覆い、その向こうに雄大な太平洋の眺望が広がります。
司馬遼太郎は著書『街道をゆく』のなかで、「どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした。」と種差海岸を評しています。
種差海岸インフォメーションセンター
2014年に種差天然芝生地の目の前に誕生した、種差海岸の新たな拠点施設。三陸復興国立公園を構成する種差海岸や階上岳、みちのく潮風トレイルの自然や暮らしの情報を発信しています。ガラス張りの窓から天然芝生地を眺めながら、大きなソファでゆっくり過ごすのも◎。
隣接する種差海岸休憩所は、無料休憩施設として利用可能。〈海カフェたねさし〉と売店では、種差海岸にちなんだドリンクや軽食、スイーツなどを提供しています。バスが近づくとお知らせするシステム「バスナビ」があるので、バスでの移動も安心です。
種差キャンプ場
天然芝のサイトにテント50張が設置可能な、種差海岸唯一のキャンプ場。緑の芝生と青い海に囲まれた大自然のなかにありながら、快適に過ごすことができる炊事場や水洗トイレを完備。
キャンプ場から葦毛崎展望台までは約5.2㎞の遊歩道が整備されているため、トレッキングの拠点にもおすすめです。
※種差キャンプ場詳細のページの注意事項をよく読んでからご予約ください。
WHARF TANECHI
2023年に種差海岸インフォメーションセンターのすぐそばにオープンした、地域交流施設。施設名の「WHARF」は埠頭や波止場などを意味し、「TANECHI」は種差のタネ(TANE)、風致のチ(CHI)を組み合わせた造語です。
「濃厚チーズのソフトクリーム」をはじめとする自家製ソフトクリームは新たな名物。ほかに地元の特産品やお土産も販売しています。また、ここではバーベキューが楽しめるテラスがあり、食材の持ち込みはもちろん、手ぶらでバーベキューできるプランも。
自転車レンタルも行っているので、周辺を自転車で散策したい人は、こちらを拠点にしてみては。
淀の松原
松林の中に整備された遊歩道。木々の間からは、海岸の荒々しい風景を望むことができます。樹齢100年にもなる松林には、昔そこからの眺めが気に入って住みついた者がいたという「仙人窟」や、コウモリが生息していた「コウモリ穴」、岩手県宮古市までつながっていると言い伝えのある「地獄穴」など、ディープな見どころがあるのも魅力です。
蕪島・蕪嶋神社
種差海岸の最北に位置する蕪島は、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定され、ウミネコの繁殖の様子を間近で見られる国内唯一の場所。毎年3月上旬頃に蕪島に飛来するウミネコは、4月頃に産卵をはじめ、6月頃にはヒナがかえり、8月頃には蕪島を旅立っていきます。もともとは完全な離島でしたが、1942年には埋め立て工事が行われ、現在のような陸続きとなりました。
島の頂上には、古くから信仰を集めてきた蕪嶋神社があり、商売繁盛、漁業安全の祈願ができます。2015年に発生した火災により社殿が全焼しましたが、全国各地から寄付金が集まり、約5年の歳月を経て再建。2020年の例大祭に合わせて一般参拝が可能となりました。
東日本大震災の復興のシンボルとして整備されている「みちのく潮風トレイル」は、ここ蕪島が起点。福島県相馬市松川浦まで、総距離1000kmを超えるロングトレイルが東北をつなぎます。
かぶーにゃ
蕪島近くにある〈かぶーにゃ〉は、2020年にオープンした物産販売施設。水産加工品やご当地の菓子類、オリジナルグッズなどの土産品や、地元野菜の販売を行うほか、鯖ご飯やそば、ソフトクリームなどの提供も行っています。
はやぶさⅡ
蕪島近くの漁港から出航し、八戸港を40分かけて周遊する観光遊覧船。海側から見る蕪島や港湾施設、工場地帯の風景は圧倒的なスケール。晴れた日には、八甲田連峰や岩木山まで遠望できることも。
また、遊覧船を追いかけてくるウミネコの群れを間近で見ることができます。
鮫角灯台
1938(昭和13)年に建造された〈鮫角灯台〉は、「日本の灯台50選」にも選出されている灯台。白亜の灯台と、緑の草原、青い海のコントラストが美しく、タイミングがよければそこをJR八戸線の列車が通ることも。 「八戸市景観賞」にも選ばれた、三陸復興国立公園の北の玄関口のシンボルです。
太平洋を一望できるビュースポットでもあり、期間限定で一般開放されています。2024年度は5月3日から10月20日の9時から16時の間、灯台へ登ることができます。
葦毛崎展望台
断崖絶壁に突き出す鮫角灯台前の岬にある〈葦毛崎展望台〉は、太平洋のパノラマビューを楽しめる展望台。太平洋戦争末期には旧日本軍の軍事施設として利用されていましたが、現在は一般開放しています。
みちのく潮風トレイルを構成するコースのなかにあり、種差海岸遊歩道の起点にもなっていて、季節ごとに咲く花々を観賞しながら散策できます。ふもとにある売店〈ホロンバイル〉のソフトクリームも人気。
白浜海水浴場
JR陸奥白浜駅から徒歩約5分の場所にある海水浴場。白い砂浜が美しく、海水浴場としては市内で最大規模を誇ります。トイレやシャワー室、更衣室を完備し、海水浴シーズンには海の家もオープン。7月中旬から8月下旬にかけて多くの人で賑わいます。2006年には環境省指定の「快水浴場百選」にも選ばれました。
館鼻岸壁朝市
館鼻漁港を舞台に、全長800メートルにわたって300以上の店舗がひしめく、国内最大規模の朝市。もともとは陸奥湊駅周辺で開催されていましたが、2003年頃に館鼻岸壁へお引越し。魚介類や野菜などの生鮮食品から、パンに惣菜、麺、スイーツ、花、金物など、あらゆるものが集まります。買い物だけでなく食べ歩きもおすすめ。
開催されるのは、毎年3月中旬から12月末までの毎週日曜。ゴールデンウィークやお盆などの祝日には、臨時開催されることもあります。時間は日の出から9時頃まで。早いお店で、朝2時頃から出店の準備をはじめるとの噂も。雨天決行ですが、出店数が減る場合があるほか、荒天のときには中止になることもあります。
八戸市魚菜小売市場
1953(昭和28)年に戦争引揚者等の生活困窮者の救済を目的に、市営の小売市場として開設された市場。「イサバのカッチャ」と呼ばれる魚を扱う女性たちが元気に出迎えてくれます。
2022年12月には、築50年以上経過していた建物の2階部分を減築するなど、大規模な改修工事を経てリニューアルオープン。場内の店舗では、鮮魚、刺身、塩干物などの海産物を中心とした地元物産を販売しているほか、食堂では、買い求めた新鮮な魚介類にご飯とみそ汁を組み合わせて、オリジナルの朝食を楽しむことができます。
陸奥湊駅前朝市
戦後から八戸の台所として親しまれてきた〈陸奥湊駅前朝市〉は、JR八戸線の陸奥湊駅前の通り沿いで、平日と土曜の朝3時から開催されています。〈八戸市魚菜小売市場〉を中心として魚介類を扱う仲卸業者が軒を連ねており、それを仕入れる飲食関係者や、市民、観光客などが訪れます。
商店街も朝から営業しているため、店舗の軒下には、魚介類のほかにも野菜や惣菜、花などが並び、路面にまでその賑わいが広がります。
みなとっと
2019年にオープンした海産物直売所。「みなとっと」は「みんなで とっと(魚)を楽しむ海の街」に由来して名付けられました。施設内には魚介類の直売所のほか、魚料理を楽しめる漁師食堂や水産研修室も設けられています。
2023年には自分好みのネタを選んで盛り付ける体験型のオリジナル海鮮丼「のっけろ丼」をスタートし、新名物に。また、月に一度は「港・八戸みなとっと 握り寿司教室」を開催。握り寿司教室のほか、お刺身切り体験、酢飯作りや魚捌きの見学、板長のお寿司との食べ比べなどが体験できます。
館鼻公園
新井田川河口の高台にある公園。園内には子どもが遊べる遊具や広場があるほか、運がよければ八甲田連峰まで望める展望タワー〈グレットタワーみなと〉や、見晴台などがあります。桜の名所としても知られており、八戸市の桜の開花を決める標準木やお花見広場も。
また、2019年には敷地内に〈八戸市みなと体験学習館(愛称:みなっ知)〉もオープン。湊地域の歴史・文化や東日本大震災の被害を伝える学習の場となっており、災害時の防災機能も備えた施設です。
八戸市水産科学館マリエント
全国屈指の水産都市である八戸市から海の魅力を伝えるために、1989年に誕生した観光文化施設。魚が泳ぐ大水槽のほか、海の生き物に触れることができるタッチ水槽、ウミネコシアターなどが展示されています。マリンレンジャーと呼ばれるダイバーによる餌付け見学や、デンキウナギの実験、魚たちへのエサやり体験なども楽しむことができます。
八戸屋形船新井田丸
新井田川の流れる港橋のそばから発着する〈八戸屋形船新井田丸〉は、八戸港を遊覧する畳敷きの屋形船。食事を楽しむプランもあり、魚介類や農産物、揚げたて天ぷら、八戸の地酒などを味わえます。海側から見る八戸の港や、工場夜景は必見。
八戸花火大会や、クリスマスなどのイベント時に開催されるナイトクルーズの予約はお早めに。
八戸酒造
新井田川の河口付近、湊町にある〈八戸酒造〉は、1775(安永4)年創業。国内外で開催されたお酒のコンテストでもっとも評価された酒蔵を認定する『世界酒蔵ランキング』で、2021年に1位を受賞した、日本を代表する酒蔵です。こちらでは酒蔵見学も可能。
酒米はすべて青森県産米。酵母は青森県オリジナル酵母をメインとし、水は酒造りに適した蟹沢名水を使用しています。「陸奥男山」や「陸奥八仙」などの代表銘柄のほか、2003年頃からリブランディングを行い、「陸奥八仙 ピンクラベル」や「裏男山」など、インパクトのある日本酒を世に送り出しています。
さらに近年ではビール酵母を使用した商品や、果汁やヨーグルトを使ったリキュール、蒸留酒作りも行うなど、日本酒の技術を応用し、新しい挑戦を続けています。
新むつ旅館
かつて花街として栄えた八戸小中野遊郭。〈新むつ旅館〉は、1898(明治31)年に遊郭〈新陸奥楼〉として創業し、2022年までは“泊まれる元遊郭”として知られていました。築100年を越える妓楼建築は、鉄板葺き・切妻屋根の木造2階建て。2006年には国の有形文化財に登録されました。
現在、館内の見学はできませんが、外観のみ見学可能です。
西・南エリア
八戸市の西と南に広がる内陸部には、博物館や縄文館、記念館などの文化施設が点在。鉄道の通っていないエリアなので、車での移動が便利ですが、市営バスで行ける場所も。ただし、本数は少ないので事前に時刻表の確認が必須です。
羽仁もと子記念館
1873(明治6)年に八戸に生まれ、日本で最初の婦人記者として『婦人之友』を創刊し、自由学園や全国友の会を設立した羽仁もと子の記念館。1991年に友の会創立60周年を記念して建てられました。八戸の市街地を見渡す小高い丘にあり、館内には、羽仁もと子の写真や遺品などが展示され、彼女の思想や活動の一端に触れることができます。
八戸市博物館・史跡 根城の広場
〈八戸市博物館〉は、郷土の歴史と文化を継承するための博物館。考古・民俗・歴史・無形資料の常設展示室を巡ることで、八戸のあゆみを体感できます。特に無形資料展示室では、八戸の昔話や方言、祭り、八戸市内の小中学校の校歌など、八戸ならではの展示が行われています。ほかに特別展や企画展なども随時開催。
八戸では馴染み深い「根城(ねじょう)」という地名ですが、もとは南北朝時代、南朝方の武将・南部師行(もろゆき)が1334(建武元)年に築城した〈根城〉に由来しています。
博物館と敷地がつながっている〈史跡 根城の広場〉には、主殿や工房・納屋・馬屋などの建物が復元され、かつての面影を現代に伝えています。日本100名城にも選ばれ、1941(昭和16)年に国史跡に指定されました。
〈史跡 根城の広場〉内にある〈ものづくり体験工房〉では、八幡馬の絵付けや、えんぶりのミニミニ烏帽子づくりなども体験できます。
八戸公園(こどもの国・八戸植物公園)
広さ37ヘクタールの広大な敷地を持つ、八戸市を代表する総合公園。ジェットコースターや観覧車などのある「遊園地ゾーン」をはじめ、サル山のある「動物放牧ゾーン」、草花を楽しめる「植物園ゾーン」、広々とした「芝生広場ゾーン」、縄文親子像のモニュメントがある「展望ゾーン」、室内遊具を備えた「こども交流館(三八五・こども館)」、変わった遊具のある「大型遊具ゾーン」など、9つのゾーンで構成。
事前予約で利用できるバーベキュー場や、夏季限定のキャンプサイトもあり、一日中楽しめる公園です。
八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館
「北海道・北東北の縄文遺跡群」のひとつとして世界遺産に登録された、是川石器時代遺跡の出土品を展示している施設。縄文の暮らしを追体験できるシアター、重要文化財の漆器や土器を鑑賞する「縄文の美」展示室、発掘現場の断面の壁面展示や出土した木製品・石器・石製品などを展示する「縄文の謎」展示室などで構成。両手を合わせたポーズが印象的な国宝《合掌土偶》は、照度を落とした展示室内に1点のみ象徴的に展示されています。
日曜日には予約なしでできる縄文体験も。また、喫茶コーナー〈これカフェ〉では、「縄文ラーメン」や「縄文ソフトクリーム」も提供しています。
八戸キャニオン
全国唯一、海面下を採掘している露天堀石灰石鉱山で、正式名称は八戸石灰鉱山。最深部は海抜-170mであり、「国内で最も空が遠い場所」と言われています。採掘場の広さは東西1000m、南北1800mにもなります。鉱山と八戸港の専用埠頭と八戸セメントが約10kmにおよぶ地下ベルトコンベアで結ばれており、石灰石を輸送しています。
採掘場内には立ち入ることができませんが、展望台からその圧倒的なスケールを感じることができます。
櫛引八幡宮
鎌倉時代から続く由緒ある神社で、南部一之宮として多くの信仰を集めてきました。国の重要文化財に指定されてる本殿は、江戸時代前期の社殿形式を伝える貴重な遺構となっています。境内には見学可能な「国宝館」があり、国宝《赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)》、《白糸威褄取鎧(しろいとおどしつまどりよろい)》をはじめとする多くの文化財を所蔵。境内には、県内に現存する最古の洋風建築として知られる「明治記念館」もあります。
南郷エリア
八戸市の山側に広がるエリア。平成の大合併により、2005年に旧南郷村から八戸市に編入され、八戸市の面積の約3分の1を占めています。そのうちの約6割が山林で、ほぼ中央に新井田川が流れる、自然豊かな立地。穀物や野菜、果物などの栽培も盛んです。公共交通機関としては南部バスで行けるスポットもありますが、基本的には車移動がおすすめ。
カッコーの森エコーランド
ウォータースライダーやジャグジーを備えた室内温水プールをはじめ、照明完備の野球場、陸上競技場、テニスコートなどのある、スポーツレクリエーション施設。茶道、華道などの文化活動に使用できる茶室もあります。
毎年7月下旬、野外のエコーステージでは『南郷サマージャズフェスティバル』を開催。全国からジャズファンや観光客が押し寄せる人気イベントです。
道の駅なんごう
南郷地域の観光の拠点となる道の駅。物産販売所では、地元・南郷で採れたブルーベリーやいちご、さくらんぼなどを販売しています。また、南郷特産のそばを食べることができるそば処やレストラン、そば打ちの体験設備、宿泊施設なども併設。隣接するカッコーの森エコーランドと合わせて一日中楽しめる施設です。
青葉湖
新井田川の上流にある世増(よまさり)ダムの建設のために造られた人工湖。平家の落人伝説があり、平重盛公がこの地に逃れてきたときに持参したと伝えられる「青葉の笛」にちなんで命名されました。湖岸にある展望台や、橋脚55mの新世増橋から望む風景は、新緑に紅葉、雪景色と、季節の移り変わりを楽しめます。
また、ダムの下流には、ダム建設により85年間の役目を終えた旧島守発電所がそのまま公園として保存されています。1914(大正3)年築の切妻造妻入の木造平屋建ての建物はレトロな外観。青森県内に現存する最古の水力発電所でもあります。2009年には登録有形文化財に登録されました。
南郷観光農園
南郷には、いちごやさくらんぼ、ブルーベリー、りんごと、果物の収穫体験ができる観光農園がたくさんあります。
いちご狩り体験は1月上旬〜5月下旬、さくらんぼ狩り体験は6月下旬~7月上旬、ブルーベリー狩り体験は7月中旬~8月中旬、りんご狩り体験は9月下旬~11月中旬が目安。
〈道の駅なんごう〉のホームページに開園情報が掲載されますので、直接農園へ連絡してご予約を。
鷹の巣展望台
八戸市の是川地区から南郷の島守地区まで、県道138号線を通って向かう途中にある、見晴らしのいい展望台。島守の盆地地区に広がる田園風景を眼下に望むことができます。田植えの時期は緑が美しく、稲穂が色づくと黄金に輝きます。
市民の森不習岳
1978年に開設されたレクリエーション施設。自然林を楽しめる遊歩道や、市街地を一望できる展望台、ピザ窯のあるキャンプ場などが整備されています。
季節ごとの自然を活用したイベントを開催しているほか、紅葉の美しいスポットとしても知られています。南部アカマツ、青森ヒバ、スギなど、地域の材を用いた総合案内施設には、休憩室や動植物の展示コーナー、木工体験コーナーがあり、枝葉や木の実などの“森のめぐみ”を活用した自由工作もできます。
朝もやの館
南郷地域の島守に残る盆地地区の田園風景と農村の暮らしを紹介、体験できる、“屋根のない博物館”、〈島守田園空間博物館〉の拠点となる施設。地域の伝統・文化などの情報を得ることができる総合情報館のほか、地元産の農産物や加工品、特産品を販売する森の直売所、名物の南郷そばを提供する森のレストランを擁しています。
毎年、新そばの時期になると、多くの人が食べに訪れます。
山の楽校
1903(明治36)年、増田文教所として開校し、100年もの歴史を歩んできた旧増田小中学校。2002年に惜しまれつつ廃校しましたが、2005年に校舎と敷地を利用して、新たに青葉湖展望交流施設(通称:山の楽校)としてオープンしました。
そば打ち、炭焼き、豆腐づくり、味噌づくりなど、田舎暮らしの体験ができ、地元の人とふれあいながら、学ぶことができます。
楽校の裏手にはひまわり畑が広がり、毎年8月下旬頃になると、200万本以上のひまわりが咲き誇ります。
工業団地エリア
八戸自動車道八戸北IC付近に整備された工業団地は、企業誘致の拠点となっているエリア。企業の運営するミュージアムが2箇所あります。八戸市の中心街から、市営バスの「ハイテクパーク」で向かうことができますが、本数が少ないため車でのアクセスをおすすめします。
帆風美術館
株式会社帆風が運営する、私営の美術館。「デジタル光筆画」という独自の技法による原寸大の複製画を展示しています。明るい照明のもとで、主に江戸期の日本画の名作を鑑賞でき、印刷紙やそれを収める掛軸も、可能な限りその作品の時代に合った素材や表装で再現されています。
ツカハラミュージアム
トヨタカローラ八戸株式会社を中核とする、塚原企業グループが運営している車の博物館。世界の名車やクラシックカーを展示しているほか、ネジ1本、パーツにまでこだわりをもって修復を続ける現場を見学したり、幻のフォーミュラニッポン試作車の座席に座ったりすることもできます。
八戸には、ここでしか見られない風景や、豊かな食、伝統や文化など、魅力的なものがたくさんあります。観光やお出かけにぜひお役立てください。
| Written by 栗本千尋 Chihiro Kurimoto
1986年生まれ。青森県八戸市出身・在住(だけど実家は仙台に引っ越しました)。3人兄弟の真ん中、3人の男児の母。旅行会社、編集プロダクション、映像制作会社の営業事務を経て2011年に独立し、フリーライター/エディターに。2020年8月に地元・八戸へUターン。八戸中心商店街の情報発信サイト『はちまち』編集長に就任。主な執筆媒体は、講談社『FRaU』、マガジンハウス『BRUTUS』『Hanako』『コロカル』、Yahoo!『Yahoo! JAPAN SDGs』etc…
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