■住所:八戸市田向5-31-18
■電話番号:0178-32-6538
■営業時間:11:30 ~ 13:30(L.O.)、18:30 ~ 22:00(L.O.20:00)
※ランチは前日までに要予約、ディナーは当日15:00までの完全予約制
■休み:日曜、ほか不定休あり
■Instagram:cuisine_francaiseyui
2. 地場食材の魅力を発信するイタリア的アイデンティティ。『Porta Otto』の平山貴之シェフ
東京『IL FIGO INGORDO』で修業の後、イタリア研修を経て、『BOGAMARI CUCINAMARINARA』のシェフに就任。2020 年、イタリア語で“戸”と“八”を意味する『PortaOtto』をオープン
生まれ育った土地を誇り、地産地消を大切に。イタリアで「カンパニリズモ」と呼ばれる精神を体現する平山さん。「魚はもちろん肉や野菜もハイレベル。近場でこれだけの食材が揃う街は、全国でもそう多くはない」と語るように、八戸で独立した理由は郷土愛だけではないそう。
「銀の鴨」、「ガーリックポーク」、「さめっ娘牛」、『南郷ひなた農園』のワインなど、レアな地場食材が揃う
修業時代は肉料理を得意とするイタリアンで料理長の薫陶を受け、独立前には鮮魚レストランでもシェフを務めた経験から、一見シンプルなカルパッチョも、カツオやリンゴ酢で〆たサバは軽く炙り、サーモンは冷燻するなど、繊細な仕事が施されています。
「旬の鮮魚のカルパッチョ」。八戸産のヒラメ、陸奥湾の海峡サーモン、気仙沼産カツオ、北海道産ボタンエビなど近海の旬魚をひと皿に凝縮。ベースのレモンソースに、マスタードやジェノベーゼのソースで味の変化も楽しめます。1,300円
「鴨の炭火焼き」は、一羽丸ごと仕入れ、自家熟成で食べ頃を見極めます。表面を焼き付けてから低温調理を行い、香り付けに炭で炙って仕上げたロゼ色の完璧な火入れは、卓越した技術の賜物です。
「銀の鴨の炭火焼」。鴨は血を抜かずに〆ることで、肉に留まった血がコクと野趣ある風味を生んでいます。鴨の骨のスープとバルサミコに、ドライトマトとパプリカを使った辛味の利いたソース「バニェットロッソ」を添えて。3,500円
「自身の料理を通して、地場食材の魅力を県内外に広めることで、恩返しがしたい」と話すように、時には、地元でもまだ知られていない食材にもスポットを当て、自身の経験を加えることで、オンリーワンの味を追求しているのです。
3. スパイスとオリジナリティでアップデートされた八戸バル料理。『zuppa』の橘竜斗さん
『zuppa』のオープンは2018 年ですが、前店の時代からいち早くナチュラルワインを取り入れています。フランス産を中心に、八戸・東京・仙台・小樽の酒販店から仕入れたワインは、質・量ともに市内有数の品揃えです
料理や経営も独学で始めた以前の店が、自分の実力以上に流行っていたことに違和感を覚えていました」と語る橘さん。開業4 年で軌道に乗っていた店を1 年間閉め、改めて修業し直したいと選んだのは、東京で連日行列のできる人気ワインバー『アヒルストア』。直感的に分かりやすい値段表記など、新たな店作りの学びも多く、何より店主の料理スタイルに強く影響を受け、現在のメニューが生まれたと言います。
「チキンナゲット(1,000円 )」。粗挽き肉や軟骨の肉感あふれるタネに、スパイスたっぷりの衣で適度なジャンク感をプラス。十和田産の新鮮なバジルのスッキリとした甘い香りが、パンチだけではないワンランク上の味に引き上げています。合わせて飲みたいのはエルダーフラワーを加えて発酵させたシードル「フロリバンダ スィドロ・アイ・フィオーリ・ディ・サンブーコ(グラス900 円)」。穏やかな香りと酸味が揚げ物にピッタリ
「食材ありきで考え、身近な経験からアイデアを得て作り出されるアヒルストアの料理は、キャッチーでサプライズ感も素晴らしかった」。現在、『zuppa』の人気メニューとなっている「チキンナゲット」はその好例で、某ファストフード店の味をヒントに、橘さんが試行錯誤を重ねたユニークな一品です。
パルミジャーノたっぷりの「生ウニのオムレツ(1,500円)」。仕上げにはミモレットチーズ、レモングラスに似た香りのマーガオを振る
「タコのワイン醬油漬(900円)」。茹でた水ダコを軽く炙り、スパイスの利いた醬油・白ワインダレで3~4日漬け込んだ一品。噛むほどに旨味があり、添えたディルの香りや実山椒の刺激、さっぱりとした大根のラペが、爽やかなアクセントに。合わせて飲みたいのは甲州を使用した山梨ワイン「共栄堂 Y21HR_DD( グラス1,000円)」。口開けに飲みたいアルコール度数やや低めの軽快さのある微発泡で、さっぱりした前菜と好相性
どの料理も驚きのある多彩なスパイスやハーブで素材を引き立て、ナチュラルワインやシードルなどとのペアリング力も引き上げています。普段使いもできて、このクオリティとなれば、八戸での行列店入りも間違いないでしょう。
祝日や週末など、月1 回程度で不定期の昼営業も行っているそう。詳細はSNSを参照を
八戸の食材をここまで存分に生かすことができるのは、Uターンシェフたちの故郷への愛ゆえでしょう。八戸を訪れたら、ぜひ足を運んでみてください。
| Written by 八戸本編集部
『八戸本』を制作した出版社「EDITORS」は、2021年2月に民事再生の申立てを行った「エイ出版社」から「街ラブ本シリーズ」『世田谷ライフ』『湘南スタイル』『ハワイスタイル』など、エリアに特化した出版事業を譲受した後継会社です。八戸市出身の編集者を中心に制作を進めた『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行されて話題となり、たちまち重版。観光目的だけでなく、八戸に暮らす人、八戸で働く人、八戸を故郷に持つ人、八戸を愛するすべての人に向けた本です。この街の魅力を、ぜひこの一冊を通して再発見してください。『八戸本』は、八戸市内の主要書店で大絶賛発売中です。
HP:https://editorsinc.jp/ Instagram:@hachinohe_bon_editors
「街ラブ本シリーズ」の88冊目で、東北では『盛岡本』・『福島本』に続いての3冊目となる『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行。食材の宝庫である八戸ならではのグルメ、青森県内の国宝がすべて八戸に集結している謎、地元愛にあふれた八戸のキーパーソンたちの紹介など、八戸市の魅力がぎっしり詰まった一冊です。