「阿房宮(あぼうきゅう)」と聞いて、どれだけの人が「菊」を連想することができるでしょうか。青森県の南部町は全国有数の食用菊「阿房宮」の産地なのです。
その昔、秦の始皇帝が菊をことのほか愛でたことから、自身が建立した“阿房宮殿”の名をとって名前がつけられたといいます。今回、長年阿房宮に携わってきた「阿房宮の会」馬場代表に話を伺いました。
「平安時代より薬草や鑑賞花として用いられてきた菊は、江戸時代に南部藩主が京都の九条家から観賞用に阿房宮の菊の苗を貰い受け、青森県南部地方で栽培されたのが始まりと言われています。」
菊の花は霜にあたると茶色く変色してしまい、味が悪くなります。ところが、南部町相内地区はほかの地域よりも霜が降りるのが2週間ほど遅く、そのため菊の花が盛りになる頃に霜が降りない南部町が菊を育てるのに適していたそうです。
初めは観賞用だった菊を食すようになったことについても理由があります。
「菊は香りが良く、試食してみたところ味も良かった。昔この地域は飢饉が多かったこともあり、菊を食べる文化が自然に根付いたのだと思います。近年では、干し菊に抗うつ作用や発がん予防効果などが見込まれる成分が含まれていることが判明するなど、健康食材としても注目を集めるようになってきています。」
馬場さんは伝統あるこの阿房宮の菊の生産を絶やさないよう、様々な手法で需要を高めるための活動をしてきた第一人者であり、そこから「八重乃菊」「南部菊まんじゅう」を考案しました。
「八重乃菊」は菊花を白あんに練りこんだ最中。「南部菊まんじゅう」は菊花を皮にねりこんだ饅頭。「八重乃菊」は、馬場さんの母「八重子」さんから名付け、「南部菊まんじゅう」は馬場さんの父が亡くなった時に思いを馳せた月をイメージした商品となっています。
様々な効能がある阿房宮の菊を使用した八重乃菊、南部菊まんじゅうを味わってみてはいかがでしょうか。
主な販売場所:ファームヴィレッジなんぶ、名岳堂(めいがくどう)