2022年9月30日に公開された映画『マイ・ブロークン・マリコ』(青森県内では上映終了)。実は、その撮影の多くが青森県八戸市と、周辺エリアで行われました。映画で登場したロケ地をめぐってみませんか?
映画『マイ・ブロークン・マリコ』とは?

原作は、平庫ワカによる同名マンガ。2019年の連載開始からSNSで反響を呼び、2021年には『第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞』、『この漫画がすごい!2021年オンナ編』4位ランクインをはじめ、各賞を受賞した話題作。
原作をこよなく愛するスタッフらにより映画化され、2022年9月30日に公開。監督・脚本は『百万円と苦虫女』や『ふがいない僕は空を見た』などで知られるタナダユキ。脚本に『色即ぜねれいしょん』『愚行録』などを手がけた向井康介。主人公のシイノを演じたのは永野芽郁。親友のマリコに奈緒、旅先で出会う地元の青年マキオに窪田正孝と、最強の布陣で映像化された。
《あらすじ》
ブラック企業に勤めるシイノトモヨ(永野芽郁)。ある日、食堂のテレビから流れてきたのは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したというニュースだった。幼い頃からマリコが父親に暴力を振るわれてきたことを知るシイノは、遺骨が毒親の手に渡ったと知り、包丁を片手にマリコの実家へ乗り込み、遺骨を奪取する。
“人生を奪われ続けた”親友のために自分ができることを考えた末にシイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだったーー。
八戸で撮影されたシーンは?
映画では、奈緒さん演じるマリコが行きたいと言っていた「まりがおか岬」を目指し、永野芽郁さん演じるシイノが旅に出ます。“遺骨になったマリコ”とともに。
その旅先の多くが、八戸市内とその周辺地域で撮影されました。八戸になじみのある人は、映画を観て「あそこだ!」とわかった場所もあるかもしれません。でも実は、意外な場所でもロケが行われていたんです。
それでは『マイ・ブロークン・マリコ』のロケ地めぐり&八戸の旅へ、いざ!
シイノが高速バスを降りた、〈八戸駅〉のバスロータリー。

シイノが高速バスを降りたあたりから、八戸市で撮影されたシーンが多く登場します。バスが到着した場所は八戸駅前にあるバスロータリー。
〈八戸駅〉は、JR東日本の東北新幹線と在来線、青い森鉄道の青い森鉄道線が乗り入れるほか、八戸の各エリアと結ぶバスの発着もある、旅の起点となる駅です。

駅を正面に見て左手側にある〈ユートリー〉の1階には、おみやげショップもあるので、旅の思い出におみやげを購入するならここでどうぞ!
牛丼を食べた〈八戸港フェリーターミナル〉のレストラン。

ん? フェリーターミナル? フェリーに乗るシーンなんてないぞ……と、建物の外観を見てもピンとこないかもしれませんが、実はここの2階がロケ現場。

ここです、ここ!
シイノがふたり分の牛丼を食べた食堂です。カウンター席のこのあたりかな……? などと考えながら食事するのも楽しいですね。

カウンターがあるのは、レストランの入り口すぐの場所。

残念ながら牛丼は提供していないのですが、定食やラーメン、カレー、そば、うどんといった定番メニューに、八戸らしいイカ刺し定食も。牛丼に一番近いのは親子丼定食とかカツ丼定食あたりでしょうか……。




八戸駅からタクシーで約20分、JR八戸線本八戸駅からタクシーで約15分。
JR本八戸駅からシルバーフェリーシャトルバスが運行していますが、1日2本なのでご注意を。
シイノが船で目覚める〈種差漁港〉。

泥酔したシイノが野宿していて……というシーンで登場したのが〈種差漁港〉。地元の青年マキオ(窪田正孝)とのやりとりも行われました。


映画に出てきた小型船はどれかな? と、思わず探してしまいますね(ちなみに原作では船ではなくベンチなんですよね。でも船がめちゃくちゃ合っていた……!)。
この漁港があるのは、種差海岸天然芝生地を抜け、北須賀を海岸沿いに進んだ先。

JR八戸線の種差海岸駅からは徒歩15分程度です。
「まりがおか岬」=〈種差海岸〉。

マリコが行きたいと言った「まりがおか岬」は、〈種差海岸〉のあたりを指します。シイノとマリコの旅の目的地です。タナダユキ監督によると、物語の世界観に合う場所がなかなか見つからなくて苦心したとのこと。種差に出合わなければこの映画は撮れなかった、と地元新聞社へのインタビューで語っています。


壮大な天然芝が広がる〈種差天然芝生地〉や、遊歩道沿いに花々が咲く〈中須賀〉、キュッキュッと音が鳴る“鳴砂(なきすな)”が特徴の〈大須賀海岸〉など、見どころがいろいろ。

たくさん歩いたら、〈種差海岸インフォメーションセンター〉で休憩を。
JR鮫駅と種差海岸を結ぶワンコインバス、種差海岸遊覧バスうみねこ号の「種差海岸インフォメーションセンター」を下車してすぐです。
重要なシーン&ポスターのビジュアルが撮影された〈マイルポスト〉。

鮫の〈マイルポスト〉のあるあたりは、重要なシーンが撮影された場所です。
原作マンガはモノクロなのですが、映画でこの場所が出たとき、「うわぁ、ここだ……!」と、ぴったりすぎて鳥肌が経ちました。


また、映画のビジュアルもここが舞台です。
ちなみに〈マイルポスト〉とは、新造船の速度を計測するために設置された、高さ5m、直径40cmの距離標識のこと。

このススキが……ね! こういうシーンがあったよなぁ、ここかな? 映画の製作チームは、ススキと海の両方があるロケーションを探していたそうです。

白い円形の〈鮫角灯台〉も見えます。

種差海岸遊覧バスうみねこ号の「中須賀」下車。
波打ち際でシイノが……〈葦毛崎展望台〉近くの浜。

シイノが男と闘ったあとのシーンで登場するのは〈葦毛崎展望台〉近くの中須賀海岸のあたりの浜。


鮫角灯台前の岬にある葦毛崎展望台は、太平洋を見渡せるビュースポット。種差天然芝生地まで続く遊歩道の起点にもなっています。


展望台のふもとにはレストラン〈ホロンバイル〉があり、軽食を楽しめます。特にソフトクリームが人気!
種差海岸遊覧バスうみねこ号の「葦毛崎展望台前」を下車してすぐです。
警察署のシーンは〈八戸市庁〉2階。

男を捕まえたシイノが警察署の一室から出てくるシーンは、〈八戸市庁〉2階。映画では警察署にしか見えなかったのに、市役所だったのか……!休庁日に撮影を行ったそうで、市役所の職員もエキストラとして出演したとか!?
「ロケ地めぐり」と題していますが、ここに関しては撮影を推奨するものではありません。何かの用事で市役所へ行く機会があったときに、立ち寄って見てみていただけたらと思います。

逆サイドから。シイノが出てきた扉の向こうは、普段は会議室として使用されています。
青い森鉄道〈下田駅〉のプラットホームとバスロータリー。

映画ではシイノが電車に乗車するシーンが2回登場しますが、青い森鉄道の全面協力にて撮影されました。


下田駅のバスロータリーは、シイノがバスに乗り込むシーンで登場。

マキオとの別れが撮影されたのが駅のホーム。
めちゃくちゃいいことを言うマキオに、シイノの生命力を感じさせるシーンなんですが、実は原作だと、このシーンはないんですよね。映画のオリジナル、とてもよかった……!


下田駅は、無人改札の駅。周囲にあまりお店などはありませんが、〈イオンモール下田〉へのバスが出ています。
『マイ・ブロークン・マリコ』のロケーションマップ。

VISITはちのへは、映画の上映期間中、『マイ・ブロークン・マリコ』のロケーションマップを全国の映画館の内、22館に限定して配布しました。

映画内でマリコが指差していたポスターと同じデザイン! 非売品なので今となってはレア! 入手した方はロケーションマップを片手に、はちのへエリアのロケ地めぐりへ出かけてみてください。
1986年生まれ。青森県八戸市出身・在住(だけど実家は仙台に引っ越しました)。3人兄弟の真ん中、2人の男児の母。旅行会社、編集プロダクション、映像制作会社の営業事務を経て2011年に独立し、フリーライター/エディターに。2020年8月に地元・八戸へUターン。八戸中心商店街の情報発信サイト『はちまち』編集長に就任。主な執筆媒体は、講談社『FRaU』、マガジンハウス『BRUTUS』『Hanako』『コロカル』、Yahoo!『Yahoo! SDGs』etc…
Twitter:@chihirokurimoto note:@chihirokurimoto