「八戸本」編集部が選ぶ!
八戸の名和食店3選

海山の幸に恵まれた八戸には、その風土と食に魅了された腕利きの料理人による、レベルの高い和食店があります。八戸が誇る美食の店をたっぷりとご紹介します。


1. 地元の食材を贅沢に使用した『ほむら』で記憶に残る料理を味わう

土鍋ごと運ばれる「鮭といくらの炊き込みご飯」。舞茸、炭火で香ばしく焼いた秋鮭とともに炊き上げる。鮭の旨味と風味、イクラの上品な味わいを堪能できます

土鍋ごと運ばれる「鮭といくらの炊き込みご飯」。舞茸、炭火で香ばしく焼いた秋鮭とともに炊き上げる。鮭の旨味と風味、イクラの上品な味わいを堪能できます

市内随一の和食店だと呼び声高いこちらの料理は、時季や仕入れで内容が変わるおまかせコース(8,000円~。予算に応じて提供)のみ。

「自然の恵みが育んだ東北、八戸の旬の食材をふんだんに使い、様々な味覚をお客様にたっぷり楽しんでいただきたいです」。こう話すのは、生まれも育ちも八戸という店主・小笠原一芸さん。店名の由来である「炎」を駆使しながら、ひと皿ごとに食材が持つ力強さと繊細さを引き出します。

お造りは下北半島の西側、仏ヶ浦で知られる佐井村で水揚げされた本マグロの中トロ。華やかな旨味と力強い味わいが光ります。
左は、地物のウニを贅沢にのせた「枝豆のムース」。右が、青森・小川原湖産の生のシラウオと地物のタコを使い、菊花の酢の物とともにさっぱりと仕上げた「シラウオとタコの菊花添え」

料理はすべて取材時の「おまかせコース(8,000~円)」より一例。
上)お造りは下北半島の西側、仏ヶ浦で知られる佐井村で水揚げされた本マグロの中トロ。華やかな旨味と力強い味わいが光ります。
下)左は、地物のウニを贅沢にのせた「枝豆のムース」。右が、青森・小川原湖産の生のシラウオと地物のタコを使い、菊花の酢の物とともにさっぱりと仕上げた「シラウオとタコの菊花添え」

「陸奥八仙」や「田酒」など地酒も充実しています。1合1,000円~

「陸奥八仙」や「田酒」など地酒も充実しています。1合1,000円~

店主の腕に惚れ込み、その時季に一番美味しい旬の味覚を求めて、遠方からわざわざ足を運ぶ常連客も多いんだとか。

店のコンセプトのひとつであり、名物として君臨するのが、コースの〆を飾る季節の土鍋ご飯。四季折々の地元食材とともに贅沢に炊き上げます。蓋を開けた途端に目を奪われてしまう彩りと、炊きたての芳醇な香り、そして深い滋味。香ばしいおこげのおまけ付きなのも、嬉しいポイント。

『ほむら』の小笠原さんは調理師専門学校を卒業後、東京や仙台の会席料理店で研鑽を積みました。
『ほむら』の店内にはカウンター5席、奥には座敷が8席

上)小笠原さんは調理師専門学校を卒業後、東京や仙台の会席料理店で研鑽を積みました。
下)カウンター5席、奥には座敷が8席

一流料理人も指名買いするという最高レベルの鴨肉、青森・新郷村産「銀の鴨」を使用した鴨すき。ジューシーな肉質で豊かな風味が広がります。
すき焼きの具材には岩手県北部の山形村産の松茸や、シャキシャキ感と独特の粘りがクセになる地物の山菜、ミズも

上)一流料理人も指名買いするという最高レベルの鴨肉、青森・新郷村産「銀の鴨」を使用した鴨すき。ジューシーな肉質で豊かな風味が広がります。
下)すき焼きの具材には岩手県北部の山形村産の松茸や、シャキシャキ感と独特の粘りがクセになる地物の山菜、ミズも

きめ細やかで丁寧な仕事は料理にとどまりません。伝統工芸として知られる津軽塗の器がさりげなく使われていたり、食後には南部鉄瓶で淹れたまろやかな味わいのほうじ茶が提供されたりと、おもてなしが細部まで行き届いています。
温かい時間が流れる店内で、郷土の豊かさを感じてください。

取材先情報:ほむら
八戸市にある『ほむら』の店外観
■住所:八戸市一番町1-1-30
■電話番号:0178-27-2632
■営業時間:17:00~22:00(L.O.20:00) ※完全予約制
■休み:不定休
■Instagram:homura710


2. 『旬菜 一颯』のカウンター天ぷらで季節の移ろいを知る

揚げ油は、江戸時代から続く伝統製法で作られ、甘みと旨味の強い玉締め絞りゴマ油を使用。これに最後まで飽きずに食べられるよう少量の菜種油を加えています

揚げ油は、江戸時代から続く伝統製法で作られ、甘みと旨味の強い玉締め絞りゴマ油を使用。これに最後まで飽きずに食べられるよう少量の菜種油を加えています

こちらの店は2019年オープン。東京の割烹料理店や天ぷら専門店などで修業し腕を磨いた鈴木健之さんが店主を務める、正統派のカウンター天ぷら専門店です。鈴木さん自ら吟味した旬の素材を用いた天ぷらは、軽やかな衣をまとい、その滋味が存分に引き出されています。

中でも大葉で巻いたウニの天ぷらは人気の一品。取材当日は、地元青森・階上産のウニを使用しています。揚げたてを口に運べば、サクサクで軽やかな衣、トロトロで濃厚なウニの食感のハーモニーが楽しく、さらに天にも昇るような甘みがふんわりと広がります。大葉の香りもアクセントにひと役買っています。

この日の焼物は、青森のブランド牛「あおもり倉石牛」トモサンカクのステーキ。
旬の鮮魚を盛り込んだお造り。写真左から、宮城・気仙沼の本マグロ赤身、脂がのった八戸産ブリ、甘みと歯ごたえを堪能する八戸産マダイ、北海道産ホタテ、脂の旨味がほとばしるブランド魚「八戸前沖さば」の〆サバ

料理は一颯コース(8,000円)より一例。
上)この日の焼物は、青森のブランド牛「あおもり倉石牛」トモサンカクのステーキ。
下)旬の鮮魚を盛り込んだお造り。写真左から、宮城・気仙沼の本マグロ赤身、脂がのった八戸産ブリ、甘みと歯ごたえを堪能する八戸産マダイ、北海道産ホタテ、脂の旨味がほとばしるブランド魚「八戸前沖さば」の〆サバ

八戸産ミズダコの白子の酢味噌和え。爽やかな旨味が◎。
前菜は写真右上から時計回りに、冬瓜と鶏の煮物、根菜の白和え、鶏の八幡焼き、有頭エビの塩茹で、サツマイモの甘露煮、ミョウガの酢漬け、磯ツブ貝の酒蒸し、ホヤのわさび漬け

左)八戸産ミズダコの白子の酢味噌和え。爽やかな旨味が◎。
右)前菜は写真右上から時計回りに、冬瓜と鶏の煮物、根菜の白和え、鶏の八幡焼き、有頭エビの塩茹で、サツマイモの甘露煮、ミョウガの酢漬け、磯ツブ貝の酒蒸し、ホヤのわさび漬け

青森の小川原湖産シラウオのかき揚げの天茶漬け。シラウオの旨味と煎茶の香りが溶け合います。
一颯コースより天ぷらの一例。甘みと旨味のバランスが良い長崎産の車エビ、クリーミーで濃厚な味が楽しめる宮城産の真ガキ、風味豊かな岩手産松茸など1種ずつ提供されます

左)青森の小川原湖産シラウオのかき揚げの天茶漬け。シラウオの旨味と煎茶の香りが溶け合います。
右)一颯コースより天ぷらの一例。甘みと旨味のバランスが良い長崎産の車エビ、クリーミーで濃厚な味が楽しめる宮城産の真ガキ、風味豊かな岩手産松茸など1種ずつ提供されます

料理はアラカルトでもオーダーできますが、おすすめは「一颯コース」です。前菜、お造り、焼き物、天ぷら10種(魚介・野菜各5種)、口替わり、食事、デザートという充実した内容で、コストパフォーマンスの高さに驚かされます。

アルコールは天ぷらに合うラインナップで、東北地方を代表する地酒のほか、八戸の澤内醸造が手掛ける自然派ワインやシードルも取り揃えています。

『旬菜 一颯』の料理。旬の野菜や山菜の天ぷらも絶品
『旬菜 一颯』の店内。カウンター6席、奥にはテーブル席も

上)旬の野菜や山菜の天ぷらも絶品です。
下)カウンター6席、奥にはテーブル席も

「ゲストの表情や反応を直に見られるカウンターの仕事に憧れていた」という店主。天ぷらが揚がる音や香りを楽しめるのも、カウンター席ならではです。
この特等席で、洗練された職人の技と味に酔いしれてみませんか?

取材先情報:旬菜しゅんさい 一颯いぶき
八戸市にある『旬菜 一颯』の店外観
■住所:八戸市十八日町35
■電話番号:0178-20-0755
■営業時間:11:30~14:00、18:00~22:00 ※土曜はディナーのみ
■休み:日曜、祝日
■Instagram:takeyuki.suzuki.526


3. 『お料理 七草』で食材を通じて驚きや感動を味わう贅沢を

「シャモロックの松風」、「アワビの酒蒸し」、キャビアを添えた「フカヒレの胡麻酢和え」など、旬の地元食材が贅沢に盛り込まれた先付

「シャモロックの松風」、「アワビの酒蒸し」、キャビアを添えた「フカヒレの胡麻酢和え」など、旬の地元食材が贅沢に盛り込まれた先付

「ハレの日や大切な人を招く席なら七草で」と愛される、地元屈指の日本料理店。15歳で日本料理の道へ進み、本場の流儀を知るため関西に渡って10年腕を磨いた店主・伊東広通さんは、法隆寺を望む懐石料理の名店『西大和さえき』で、二番手まで務めた実力派です。

夏が旬の木モズクに走りのイクラを合わせた酢の物。
階上町産ヒラメ、大間産マグロのカマトロ、陸奥湾産ホタテなど、お造りには県内の豊かな海の恵みが満載です。

13,200円コースの一例。
左)夏が旬の木モズクに走りのイクラを合わせた酢の物。
右)階上町産ヒラメ、大間産マグロのカマトロ、陸奥湾産ホタテなど、お造りには県内の豊かな海の恵みが満載です。

前菜やお造りも付く「すき焼き懐石コース(1人前 8,800円~)」では、倉石牛のサーロインやトモサンカクが堪能できます
汁ではなく具材が主役の「いちご煮」は、八戸産のウニとアワビをたっぷり使う贅沢なひと品です。

左)前菜やお造りも付く「すき焼き懐石コース(1人前 8,800円~)」では、倉石牛のサーロインやトモサンカクが堪能できます。右)汁ではなく具材が主役の「いちご煮」は、八戸産のウニとアワビをたっぷり使う贅沢なひと品です。

約600gもある大ぶりなキンキを、一夜干しにして旨味を凝縮させた「キンキの塩焼き」

約600gもある大ぶりなキンキを、一夜干しにして旨味を凝縮させた「キンキの塩焼き」

地元銘柄牛のすき焼きも評判ですが、その時期だけの旬の味覚を贅沢に用いたおまかせコースがこちらの真骨頂。「県外の方には豊かな地物を、地元の方には関西のハモや九州のクエなど、普段は召し上がる機会の少ない食材をご用意しています」と伊東さん。

「関東出身の私には魅力的に映る豊かな地物も、八戸の方には定番のものなので、全国から集めた食材をお出ししています」と伊東さん。
店内は全席個室で、黒を基調とした和モダンの空間

上)「関東出身の私には魅力的に映る豊かな地物も、八戸の方には定番のものなので、全国から集めた食材をお出ししています」と伊東さん。
下)店内は全席個室で、黒を基調とした和モダンの空間

ゲストに応じて食材を変え、料理を通して季節感だけでなく、驚きや感動も届けることが信条だと言います。それができるのも、修業時代に培った関西の仲卸しとの太い人脈のなせる業です。

取材先情報:お料理りょうり 七草ななくさ
八戸市にある『お料理 七草』の店外観
■住所:八戸市番町3 NCビル1F
■電話番号:0178-44-7793
■営業時間:11:30~14:00、17:00~22:00 ※完全予約制
■休み:日曜、ほか祝日不定休あり
■Instagram:nanakusa.hachinohe.aomori

恵み豊かな八戸には、まだ見ぬ美味しいひと皿が眠っているはずです。至福の名店で、八戸の美食を味わってみませんか?


| Written by 八戸本編集部

『八戸本』を制作した出版社「EDITORS」は、2021年2月に民事再生の申立てを行った「エイ出版社」から「街ラブ本シリーズ」『世田谷ライフ』『湘南スタイル』『ハワイスタイル』など、エリアに特化した出版事業を譲受した後継会社です。八戸市出身の編集者を中心に制作を進めた『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行されて話題となり、たちまち重版。観光目的だけでなく、八戸に暮らす人、八戸で働く人、八戸を故郷に持つ人、八戸を愛するすべての人に向けた本です。この街の魅力を、ぜひこの一冊を通して再発見してください。『八戸本』は、八戸市内の主要書店で大絶賛発売中です。

HP:https://editorsinc.jp/ Instagram:@hachinohe_bon_editors

「街ラブ本シリーズ」の88冊目で、東北では『盛岡本』・『福島本』に続いての3冊目となる『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行。食材の宝庫である八戸ならではのグルメ、青森県内の国宝がすべて八戸に集結している謎、地元愛にあふれた八戸のキーパーソンたちの紹介など、八戸市の魅力がぎっしり詰まった一冊です。

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