日本酒の種類や旬の時期って?八戸の酒蔵で作られた日本酒を飲もう!

みなさん、日本酒は好きですか? 海外ではSAKEブームが到来し、日本酒の輸出量は年々右肩上がりなんだとか。世界的にも注目されている日本酒ですが、まずは地酒から楽しんでみては? 八戸には、2021年の「世界酒蔵ランキング」で1位に輝いた〈八戸酒造〉や、八戸市の中心街に本社を構える〈八戸酒類〉があります。

でも、日本酒って「純米酒」や「純米吟醸」、「大吟醸」のように種類がいろいろあるし、さらに「あらばしり」とか「ひやおろし」とか、時期によって違うお酒が出ていますよね。もちろん特別な知識がなくても日本酒はおいしいのですが、知った上で飲んだら楽しいはず!

そんなわけで、今回は日本酒の知識をまとめてみました。

「純米酒」「大吟醸」……日本酒の種類って?

日本酒のラベルを見ると、「純米酒」「純米吟醸」「大吟醸」などの言葉が書かれていることがあります。実はこれらには、製造方法や特徴などが表現されているのだそう。〈八戸酒類〉の加藤貴大さんにお話を聞きました。

「日本酒は『特定名称酒』と『普通酒』に分類されます。ラベルに『吟醸』や『純米』などの表記があるのは、精米歩合や原料などの条件を満たした『特定名称酒』のこと。原料によって主に3つに分類され、さらに精米歩合などにより8つに分類されます」

『特定名称酒』以外の日本酒を『普通酒』と呼びます。精米歩合が70%以上だったり、特定名称酒に使われているもの以外の原料を用いたり、醸造アルコール量が10%を超えるものなどがあります」

わかりやすく図にしてみました! こういうことだそうです。

「さらに、『特定名称酒』は、原料によって『吟醸酒』『純米酒』『本醸造酒』の3つに分類できます。

『吟醸酒』は、精米歩合60%以下の白米と米麹と水、またはこれにプラス醸造アルコールを原料として吟味して造ったお酒で、固有の香味および色沢が良好なもの、と定義されています。

『純米酒』は、白米、米麹、水を原料として造ったお酒で、香味および色沢が良好なもの。お米だけで造られたお酒です。

『本醸造酒』は、精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール及び水を原料として造ったお酒で、香味および色沢が良好なものです」

「さらに精米歩合や製造方法などによっても分類されます。『精米歩合』とは、お米をどれだけ磨いたかという意味です。酒米が50%以下になるまで削ったものは『大吟醸』、60%以下の場合は『吟醸』など、グレードがつけられます。

『純米』と表示のない日本酒は、デンプン質物や含糖質物から醸造された『醸造アルコール』が加えられています。醸造アルコールの割合が10%以下であれば『本醸造酒』、10%以上であれば『普通酒』となります。

『醸造アルコール』には、加えることで香りや味わいを安定させたり、お酒を劣化させる原因となる火落菌という乳酸菌の増殖を防止させたりといった役割もあります」

なるほど、名前を見ると製造方法などがわかるっておもしろい。

削る割合が大きいだけ、酵母が必死になるのでフルーティーな味わいに。また、贅沢な造りなので、高価になります。とはいえ、精米歩合が小さいほどおいしいという単純な話ではなく、あくまでも好みによるので、お酒を選ぶ基準のひとつとして考えるといいかもしれません。

日本酒の「生酒」って?

日本酒のボトルに「生酒」のシールが貼ってあるのを見たことがある人もいるのでは? 筆者なんかは「生」ってなんとなくフレッシュでおいしそう! と思ってつい買ってしまうのですが、どういう意味があるのでしょうか。

取材時に〈八戸酒類〉で見かけた「新春しぼりたて」を買ってきました。毎年12月下旬頃に販売を開始するそうです。

「日本酒は、製造過程で“火入れ”と呼ばれる加熱処理を行います。一般的な日本酒は、もろみを搾ったあとに火入れし、貯蔵。その後、また出荷前に火入れします。『生酒(なまざけ)』は、一度も火入れしないお酒のことです。日本酒のフレッシュさと、フルーティーな味わいを感じられます」

そもそも火入れってなんのためにするもの……?

「生酒のままだと、酵素や酵母などが生きて残っている状態なんです。酵素はお米のデンプンを糖に変えるので、熟成が進みやすくなり、管理や流通が難しくなってしまう。60度以上の火入れをすることで、その酵素は“失活”、つまり効き目がなくなり、管理や流通がしやすくなります。

熟成は旨みが増したり味のふくよかさが出ますが、劣化すると、むれたような匂いに感じることも。日数と温度の相関関係なんです」

ほかにも貯蔵前は火入れをせず、出荷前の一度のみ火入れをする「生貯蔵酒」や、もろみを搾ったあとに割水をして貯蔵前のみ火入れする「生詰め酒」もあります。

火入れの回数やタイミングを表にしてみました。

生酒は、さらに「生原酒」と「無濾過生原酒」の2種類に分けられます。

「『生原酒』は、割水(加水すること)も火入れもせずに出荷するお酒のことです。日本酒本来のフレッシュで濃厚な味わいが楽しめます。この工程でさらに濾過もしていないのが『無濾過生原酒』。もろみを搾ったままの状態で、濾過も割水も火入れもしていないお酒のことです。濾過をしていないのでほのかな黄金色をしているのが特徴です」

日本酒の旬って?

時期によって「新酒」や「夏酒」、「ひやおろし」など、さまざまな種類の日本酒が出ていますよね。これらはどういう意味なのでしょうか。日本酒の年間スケジュールをざっくりまとめてみました。

日本酒はだいたい11月〜2月頃が酒造り期(<八戸酒類>では今期10月~4月だそうです)。

その年に造られたお酒は「初しぼり」「しぼりたて」「あらばしり」などの名前で販売されます。「しぼりたて」は搾ってすぐのお酒で、「初しぼり」は秋に収穫されたお米で仕込み、初めて搾ったお酒のこと。「あらばしり」は、もろみを酒と粕に分ける工程で、最初に出てくる酒のことです。

夏には爽やかさやフルーティーさのある「夏酒」。

秋になると、熟成した「ひやおろし」や「秋あがり」などの名前で販売されます。「ひやおろし」は、「冷やのまま卸す」という意味で名付けられた生詰め酒のこと。春までに造った日本酒に一度火入れをして秋ごろまで貯蔵するため、熟成によって角がとれて、丸みのある味わいになります。

こうした特徴を知っておくと、好みのお酒を探しやすくなるかもしれません。

八戸の酒蔵でお酒を買おう。〈八戸酒造〉

さて、たくさん事前知識をとりこんだら、実際にお酒を買いにいきましょう! 八戸市にはふたつの酒蔵があり、直売所でお酒を購入できます。

新井田川の河口付近、湊町にある〈八戸酒造〉は、1775(安永4)年創業。国内外で開催されたお酒のコンテストでもっとも評価された酒蔵を認定する『世界酒蔵ランキング』で、2021年に1位を受賞した、日本を代表する酒蔵です。

酒蔵見学も可能。ウェブサイトから要予約。

酒米はすべて青森県産米。酵母は青森県オリジナル酵母をメインとし、水は酒造りに適した蟹沢名水を使用しています。「陸奥男山」はドライで辛口のなかにフルーティーさも同居し、「陸奥八仙」はフルーティーでフレッシュな味わい。

2003年頃からリブランディングを行い、「陸奥八仙 ピンクラベル」や「裏男山」など、インパクトのある日本酒を世に送り出しています。

2013年頃からは日本酒の技術を応用し、ビール酵母を使用した「8000 BREWING」シリーズや、青森県産の果汁をたっぷり使用した「AOMORI JUICY LAB」シリーズ、むつ市のミルク工房〈ボンサーブ〉とのコラボレーションで「八仙ボンサーブ ヨーグルトリキュール」なども誕生。

2017年からは八仙の酒粕で粕取り焼酎の醸造もスタート。オーク樽をはじめ、バーボンやシェリー酒などに使われた中古樽、青森ヒバを使ったオリジナルの木樽などを用いて蒸留酒を寝かせて「MINATO DISTILLERY」シリーズとして展開。2021年からはスピリッツの免許も取得し、ホップや山椒といった地元の農産品を中心に、さまざまなフレーバーのスピリッツの製造も始めました。

つねに新しいことに挑戦し続けている酒蔵です。

大正年間建築の煉瓦蔵、土蔵、木造の店舗兼主屋は国の登録有形文化財、県の景観重要建造物に指定されています。

〈八戸酒造〉
住所:青森県八戸市湊町字本町9
電話番号:0178-33-1171
見学時間:10:00〜16:00(予約優先)※所要時間30分~1時間
休業日:土・日曜、祝日(冬期間は土曜営業)
料金:500円(試飲付き)
ウェブサイト:https://mutsu8000.com/

角打ちやマイボトルでお酒を楽しめる。〈八戸酒類〉

酒蔵の外にかかっている「杉玉」は、新酒ができた合図として取り付けられ、年に一度、交換されています。最初は緑色で、徐々に茶色へと変化していくそう。〈八戸酒類〉では、元蔵人の方が作っているとか。

1786(天明6)年から酒造りをしている〈八戸酒類〉は、八戸市の中心商店街に本社を構える酒造メーカー。

代表する銘柄は「八鶴」です。現在もラベルに使われている「八鶴」の文字は、日本画の巨匠である横山大観が描いたもの。「飲んだこともない酒の字を書けとは、見たこともない風景を描くがごとし」と言われ、筆書き料として清酒を四斗樽(72リットル)送ったという逸話が残っています。

横山大観筆の「八鶴」。

2015年から、岩手の杜氏を迎えた酒造りから社員と近隣在住の方を蔵人とした酒造りに移行。蔵人としても経験を積み、南部杜氏の資格を得た社員の上井裕文氏が杜氏となり醸し出した日本酒は就任した年から現在まで、青森県清酒鑑評会 金賞受賞・首席二年連続受賞、東北清酒鑑評会 金賞受賞、全国新酒鑑評会 連続金賞受賞、南部杜氏自醸酒鑑評会 優等賞受賞など、全国でも類を見ない結果を残しており、県の内外を問わず酒質の良さと銘柄の認知が広がってきています。

八鶴工場の蔵見学も可能。
八鶴工場にある井戸。

「八鶴」の仕込み水には、八鶴工場の地下100mから汲み上げた、ミネラルが多く発酵力のある中等度の軟水を現在も使用。五戸では蔵井戸からの湧き水を使用するなど、お酒の種類によって使い分けています。

原料米は「華想い」「華吹雪」をはじめとする、青森県の酒米を中心に。酵母は八戸酒類から見つかったとも言われている10号酵母や青森県酵母を使用しています。

2022年には、〈八戸酒類蔵元直売所〉がオープン。ロシア風建築とアールデコ様式を取り入れた大正モダンな外観が特徴で、ひさしの欄間にはめ込まれたステンドグラスからは、店内の明かりがこぼれる設計になっています。1998年には国の登録有形文化財にも指定されました(登録名称は旧河内屋橋本合名会社)。

こちらでは日本酒の試飲や角打ちができるほか、専用ボトルを購入して量り売りをしてくれる「蔵出し通い酒」も提供。時期によって種類が変わるそうなので、何度訪れても楽しいですね。

〈八戸酒類〉
住所:青森県八戸市八日町1
電話番号:0178-43-0010
営業時間:10:00~17:00
休業日:日曜、祝日
ウェブサイト:https://hachinohe-syurui.com/

地酒をその土地で楽しむ。

今回は、八戸市にあるふたつの酒造メーカーを紹介しました。米や水、酵母など、地元ならではの素材を使って造られたお酒を、その土地で飲むのもオツなもの。ぜひ味わってみては?

| Written by  栗本千尋 Chihiro Kurimoto

1986年生まれ。青森県八戸市出身・在住(だけど実家は仙台に引っ越しました)。3人兄弟の真ん中、3人の男児の母。旅行会社、編集プロダクション、映像制作会社の営業事務を経て2011年に独立し、フリーライター/エディターに。2020年8月に地元・八戸へUターン。八戸中心商店街の情報発信サイト『はちまち』編集長に就任。主な執筆媒体は、講談社『FRaU』、マガジンハウス『BRUTUS』『Hanako』『コロカル』、Yahoo!『Yahoo! JAPAN SDGs』etc…

Twitter:@chihirokurimoto note:@chihirokurimoto

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