青森県内だけでなく、全国各地で人気の「陸奥八仙」や「陸奥男山」などの日本酒を生み出してきた『八戸酒蔵』。多くの人に愛され続ける日本酒の数々が、どのようにして生み出されてきたのか、その歴史や酒造りのこだわりを紹介します。
1. 親子三人で守り継ぐ“本物”の味。地域に根差した酒造りで地元にも貢献!
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大正末期に建設された主屋の玄関前に立つのは、左から専務の秀介さん、八代目の庄三郎さん、杜氏の伸介さん
新井田川沿いに蔵を構える『八戸酒造』。現在、八戸酒造を担うのは、八代目社長の駒井庄三郎さんを中心に、専務で長男の駒井秀介さんと杜氏で次男の駒井伸介さんです。八戸酒蔵を支えるのは、創業ブランド「陸奥男山」と主力商品である「陸奥八仙」の2つ。「陸奥男山」を全国新酒鑑評会で金賞へと導いた駒井庄三郎さん、「陸奥八仙」を世界酒蔵ランキングで1位を獲得する酒へと育てた秀介さん・伸介さん兄弟には、「青森県から生まれたものだけで酒造りを続ける」という強い意思があります。
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八戸酒造が主催する酒造りクラブ「がんじゃ自然酒倶楽部」では田植えイベントが行われる
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酒造りで使う蟹沢地区の水は紫外線処理をした後、八戸の水道水として親しまれている
「陸奥八仙」が2021年に世界酒造ランキング1位を獲得するほどの人気商品になったのは、決して簡単なことではありませんでした。杜氏の伸介さんが、日本酒の火入れの仕方や冷蔵での管理方法など、細かい商品管理を徹底的に見直し、味わいを追求するという企業努力のおかげで、“八仙ファン”を増やしたのです。
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平均年齢30歳という、八戸酒造の若手の蔵人たち
現在は「陸奥八仙」の純米酒などの定番、季節商品のほかに、新商品開発などにも力を注ぐ『八戸酒造』。代表の庄三郎さんは「息子たちには、海外への展開も積極的に行ってほしい。お酒が得意ではない人に向けた新商品にも期待している」と話します。
2. 「陸奥八仙」が誕生するのには、長い苦労と歴史があった!
いまでは人気を誇る「陸奥八仙」ですが、誕生した背景を探ると、1944年に遡ります。 六代目だった当時、国策の「企業整備令」によって、八戸館内にあった酒蔵の16蔵と合併し、『八戸酒類』の一員だった『八戸酒造』。しかしその後、1989年に八戸酒類を脱退することになり、類家にある旧八戸酒蔵(福牡丹)の蔵を借りて酒造りをスタートしました。

大正末期に六代目当主と蔵人で撮影された写真。木造の主屋や手前の煉瓦棟は、現在とほとんど変わらない様子
酒造りを再会できたものの、やはり湊の元の蔵に戻りたいという想いで、陸奥男山の商標使用を巡って10年ほど裁判を行っていたそう。酒造りに集中できる状況ではない中、苦労を乗り越え、現在とは別の蔵で誕生したのが「陸奥八仙」でした。必ず良いものができると信じ続けてきたからこそ生まれた一本です。
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「陸奥男山」の名前入りの蔵の前に並ぶ六代目当主(前列左から4番目)と蔵人たち
3. 八戸本編集部おすすめ! いま飲みたい八戸酒蔵の日本酒をご紹介!
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冷酒だけでなく熱燗もまた美味しい「陸奥男山 超辛純米(1,800㎖ 3,300円)」
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深い米の旨味とほのかな甘みに酔いしれる「陸奥八仙 特別純米(1,800㎖ 3,300円)」
不動の人気を誇るのは。「陸奥八仙 特別純米」や「陸奥男山 超辛口純米」。「陸奥八仙 特別純米」は、ほのかな甘みを感じながらも、後味は爽やかでスッキリ。どの料理にも合わせやすいので、シーンを選ばずに楽しめます。「陸奥男山 超辛口純米」は「陸奥男山」の中でも特に辛口! 旨味だけでなく酸味も感じられて、キリッとした味わいです。
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ロックにすれば旨さをより感じられる梅酒「八梅(720㎖ 1,980円 )」
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青森県産のリンゴジュースを開発する『JAアオレン』と共同開発した「AOMORI JUICY LAB(500㎖ 1,980円)」
そのほかにも南部町の豊後梅を使用し、一般的な梅酒よりも甘さを抑え、嫌味のない酸味とさっぱりとした後味が楽しめる「八梅」やまるでリンゴを食べたような甘さを感じられる、「AOMORI JUICY LAB」など、「王林」を使ったスパークリング果実酒も人気です!
日本酒はもちろん、新しいスタイルの酒造りに挑戦する八戸酒造。今後も大注目の酒蔵です! 八戸酒造の日本酒を飲みながら、その魅力にもっと浸ってみませんか?
『八戸本』を制作した出版社「EDITORS」は、2021年2月に民事再生の申立てを行った「エイ出版社」から「街ラブ本シリーズ」『世田谷ライフ』『湘南スタイル』『ハワイスタイル』など、エリアに特化した出版事業を譲受した後継会社です。八戸市出身の編集者を中心に制作を進めた『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行されて話題となり、たちまち重版。観光目的だけでなく、八戸に暮らす人、八戸で働く人、八戸を故郷に持つ人、八戸を愛するすべての人に向けた本です。この街の魅力を、ぜひこの一冊を通して再発見してください。『八戸本』は、八戸市内の主要書店で大絶賛発売中です。
HP:https://editorsinc.jp/ Instagram:@hachinohe_bon_editors
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