「八戸本」編集部が選ぶ!
地元で絶大な人気を誇る中華3選

どんなときでも私たちの胃袋を掴んで離さないのが、中華料理。本格中華から町中華まで八戸にも様々なお店がありますが、その中でも「八戸本」編集部が推す3店をご紹介します。

1. 自家製麻辣が生み出す、麻辣の桃源郷。『中国料理 庄屋』

『中国料理庄屋』の麻婆豆腐

麻婆豆腐は旨辛を引き出すのがポイント。仕上げに鍋をゆすりながら、表面にうっすら油が浮いてくるまで火入れします。油の膜が蓋の代わりになり、豆腐にしっかり味が入るそうです

創業は1970年。八戸市内の三日町、沼館を経て、現在の地に移転したのが2014年のことでした。本格中華が家庭的な雰囲気で気軽に味わえると、50年以上にわたり地元住民に愛されている老舗です。

先代の父から店を受け継いだ二代目店主の小田島重勝さんは、自身の味を極めようと試行錯誤を繰り返し、その末にたどり着いたのが、自家製のラー油でした。油は植物性の菜種油と牛脂からとった動物性油脂をブレンド。中国唐辛子を筆頭に、香味野菜、陳皮や八角、花椒など数種類の香辛料を使い、無添加で作られます。

もっとも本人は「こだわりはないんです」と笑って謙遜しますが、香り豊かで辛味と旨味のバランスが秀逸なこのオリジナルラー油は、店の中核をなす存在と言えるでしょう。店内の各テーブルにも置かれていて、“追いラー油”しながら食べる常連客も少なくないそうです。

『中国料理庄屋』の店内写真

広々と開放感あふれる店内。個室も3室備わっています

『中国料理庄屋』の自家製ラー油と「辣辣麺」専用のオリジナル麻辣醤
『中国料理庄屋』の名物「四川麻婆豆腐」

上)万能な自家製ラー油(写真奥)と、「辣辣麺」専用のオリジナル麻辣醤。下)写真の「四川麻婆豆腐(1,190円)」に加え、花椒の麻味を抑えた「麻婆豆腐(1,190円)」もあります

自家製ラー油の味わいを存分に堪能するなら、やはり麻婆豆腐でしょう。名物「四川麻婆豆腐」の主な具材は合挽き肉、木綿豆腐、ネギ、ニラなどごくシンプルですが、ラー油をたっぷり使い、コクのある味わいが特徴。ラー油の辛さの中に花椒がフワッと香り、後から旨味が追いかけてきます。重層的で奥深く、食べるほどクセになる味わいです。

『中国料理庄屋』の冷麺メニュー「油淋鶏涼麺」
『中国料理庄屋』の冷麺メニュー「油淋鶏涼麺」

上・下)まかないから生まれた冷麺メニュー「油淋鶏涼麺(ユーリンチーリャンメン 1,398円)」。揚げたての鶏の唐揚げはそれだけでもインパクト大のボリュームですが、トマトやネギなど彩り豊かな野菜、さっぱりとした甘酸っぱい醤油ベースのタレと一緒に食べると、実にバランスの良い味わいです

「インパクトも大切ですが、何よりお客様に美味しいと喜んでいただけることが一番です」。そう語る小田島さんの想いを乗せた味は、地元住民のハートと胃袋をしっかり掴んでいます。

『中国料理庄屋』の「辣辣麺」
『中国料理庄屋』の「豚バラやわらか煮ご飯」

上)激辛マニアも思わず唸る「辣辣麺(ラーラーメン 1,245円)」。辣辣麺専用に調合して作られた麻辣醤、ラー油、大量の中国唐辛子が、濃厚で強烈な辛味をもたらしています。牛肉やシイタケ、セロリなど具材から出た出汁の旨味もしっかり感じられます。下)6時間煮込んで作る「豚バラやわらか煮ご飯(1,410円)」

取材先情報:中国料理(ちゅうごくりょうり)庄屋(しょうや)
『中国料理庄屋』の店舗外観
■住所:八戸市田向5-21-1
■電話番号:0178-96-6888
■営業時間:11:00~19:30(L.O.18:50)、木曜~15:00
■休み:月曜、第3木曜(ほか月1回日曜休み)

2. 老若男女に好まれるあっさり飽きのこない味。『金華楼 本店』

『金華楼本店』の「レバニラ炒め」

軟らかいレバーに、ほどよい甘みのあるタレが野菜と絡む「レバニラ炒め(820円)」は、スープとご飯がよくすすみます。女性客も多く注文するとか

港で漁師を相手に、約57年前にスタートしたという金華楼ですが、現在は住宅地の一角に本店を構え、常連客を中心に賑わっています。二代目の中野実さんが、創業者である先代の味を守っています。

透き通ったスープのラーメンをはじめ、どのメニューも老若男女に好まれるあっさり系の味付けで、価格帯も良心的。12年ほど前から始めたという「五目あんかけ焼きそば」は、注文の多い人気メニューです。

『金華楼本店』の「スープ餃子」
『金華楼本店』の店内写真

上)平日のみ注文できる「スープ餃子(450円)」は、餃子がスープを含んでジューシー。「五目あんかけ焼きそば(850円)」は、しっかり焼いた太麺。野菜の旨味が溶け込んだ餡が、麺が隠れるくらいたっぷりかかっています。下)厨房と客席がお互いに見える距離感。「常連さんの顔は覚えています」と中野さん

「先代はお客さんと接するのが好きでした。僕が出前に行く時も、ただ料理を置いてくるんじゃなくて、一言二言会話をしてくるように言われていました。その当時から親しみやすさのある中華屋だと思います」と、優しい眼差しで語ってくれました。

『金華楼本店』の「焼餃子」
『金華楼本店』の「チャーハン」

上)「焼餃子(450円)」は、皮が薄くて中はジューシー。口に入れるとふんわりした印象です。下)「チャーハン(750円)」は、具はシンプルながら、絶妙なパラパラ感と、飽きのこない王道の味付けでファンが多い一品。カニ、エビ、五目チャーハンもあります

『金華楼本店』の店主・中野さん
『金華楼本店』の卓上セット

上)20歳で弟子入りする前、子どもの頃にも家族で金華楼に食べに来ていたという中野さん。当時の味をいまも守っています。下)過不足ない卓上セットが金華楼らしさです

取材先情報:金華楼(きんかろう)本店(ほんてん)
『金華楼本店』の店舗外観
■住所:八戸市青葉1-17-27
■電話番号:0178-43-5554
■営業時間:11:00~20:00
■休み:月曜

3. ホテル中華の味を落とし込むワンランク上の町中華。『ちゃぷすい』

『ちゃぷすい』の「ちゃぷすい特製サラダ」

生野菜に炒めた豚肉とマイタケをのせた、酒にもご飯にも合う「ちゃぷすい特製サラダ(1,100円)」

店主・阿部司さんは『仙台国際ホテル』出身で、「中華料理世界大会」で入賞経験を持つ腕利きの料理人。「若い頃は本場の食材や味や追求していましたが、いまは“こだわらないこと”がこだわり」と、町の中華料理店として毎日でも食べ飽きない味を重視しています。

『ちゃぷすい』の名物「麻婆茄子」
『ちゃぷすい』の名物「麻婆豆腐」

上)挽き肉や中華スープの旨味をしっかり吸ったナスが、舌の上でとろける「麻婆茄子(1,200円)」。下)料理が冷めにくく、香りや辛さをより引き立てるため、熱した鉄鍋に移し替えて提供しています

何を食べても旨いと評判ですが、名物は「鉄鍋麻婆」の2品。「麻婆豆腐」は豆板醤を利かせたインパクトのある辛さがある一方、「麻婆茄子」は旨味を重視。花椒油の香りと黒コショウを利かせ、辛さが苦手でも食べられる味わいに。味を再構成してもピタリと決めてくるあたりに、店主の実力の片鱗が垣間見えます。

『ちゃぷすい』の「海の幸の塩味あんかけ焼きそば」

麺を香ばしく焼き上げ、エビやホッキ貝、イカがたっぷり入った「海の幸の塩味あんかけ焼きそば(1,200円)」

取材先情報:ちゃぷすい
■住所:八戸市旭ヶ丘3-1-5
■電話番号:0178-25-8989
■営業時間:11:30~14:30、17:30~20:30
■休み:不定休

お店ごとにメニューや味わいも多様なのが中華料理店の魅力。地元に愛される逸品の数々をぜひ味わいに訪れてみてくださいね。


| Written by 八戸本編集部

『八戸本』を制作した出版社「EDITORS」は、2021年2月に民事再生の申立てを行った「エイ出版社」から「街ラブ本シリーズ」『世田谷ライフ』『湘南スタイル』『ハワイスタイル』など、エリアに特化した出版事業を譲受した後継会社です。八戸市出身の編集者を中心に制作を進めた『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行されて話題となり、たちまち重版。観光目的だけでなく、八戸に暮らす人、八戸で働く人、八戸を故郷に持つ人、八戸を愛するすべての人に向けた本です。この街の魅力を、ぜひこの一冊を通して再発見してください。『八戸本』は、八戸市内の主要書店で大絶賛発売中です。

HP:https://editorsinc.jp/ Instagram:@hachinohe_bon_editors

「街ラブ本シリーズ」の88冊目で、東北では『盛岡本』・『福島本』に続いての3冊目となる『八戸本』は、「街ラブ本シリーズ」の最新作として2022年12月に発行。食材の宝庫である八戸ならではのグルメ、青森県内の国宝がすべて八戸に集結している謎、地元愛にあふれた八戸のキーパーソンたちの紹介など、八戸市の魅力がぎっしり詰まった一冊です。

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