「三陸ジオパーク」は、青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの日本一広大なジオパークです。蕪島〜種差海岸〜階上地域は、最北に位置し、日本ジオパークに認定された見どころ(ジオサイトなど)を有しています。
「みちのく潮風トレイル」のルートにも指定されていて、歩いて巡ると、より大地のパワーを感じることができます。ここではジオサイトなど11箇所を紹介します。
▶︎みちのく潮風トレイルの詳細はこちら(環境省WEBサイト)
*「ジオパーク」とは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」を組み合わせた言葉で、地球活動が生み出した地形や地質、それと深く関わりがある人々の暮らしや歴史、食などが対象。
1.ジオサイト
「蕪島」は周囲800メートルの凝灰岩
ウミネコの繁殖地として知られる「蕪島」は、1億3千万年前の海底火山活動による火山灰などが堆積してできた、周囲800メートルから成る凝灰岩です。
現在は陸続きとなったことで、断崖絶壁や離島で繁殖することが多いウミネコの巣や子育てを間近に見ることができます。ウミネコは4月頃に産卵を始め、5月頃には雛がかえり、8月頃には蕪島を巣立ちます。蕪嶋神社では、商売繁盛・漁業安全の守り神をまつり、ウミネコは漁場を知らせる神の使いとして大切にされてきました。
青森県で初めて国の天然記念物に指定された蕪島は、2022年3月8日で記念すべき100周年を迎え、地元では再び保存と活用を考える機運が高まっています。
2. ジオサイト
溶岩が冷え固まった「恵比須浜の枕状溶岩」
1億3千万年前の海底火山活動で水中に流れた溶岩が冷え固まり、次々と積み重なることでできた、枕を積み重ねたような形の岩石です。蕪島近くの「恵比須浜漁港」周辺で見ることができます。
3.ジオサイト
マグマからできた「イタコマイマイ岩」
マグマからできた安山岩で、規則的な割れ目は、冷え固まる際、体積が減少することでできる「節理」と呼ばれる現象です。波の侵食により徐々に削られたことで、海からそびえるような形になりました。この地域に住んでいたイタコが日の出とともに舞い、その日の漁を占った場所とされることからこの名が付けられたとされています。
4.ジオサイト
鉱物が奏でる音「大須賀海岸の鳴砂」
約2.3kmに渡る「大須賀海岸」の白い砂浜は、踏み締めると音が鳴るため、「鳴砂(なきすな)」と呼ばれています。砂に混じる鉱物「石英粒」が擦れる際の振動で音が出るためで、不純物の少ない綺麗な砂浜の証であり、現在では国内でも限られた浜しか鳴かないと言われています。「大須賀海岸」は、「日本の渚・百選」にも認定されており、遊泳は禁止されていますが、裸足で歩くことができ、南側にはシャワー室や更衣室等が完備された「白浜海水浴場」があります。
5.生態系サイト
火山灰で形成された「深久保の白岩」
高さ約20mの「白岩」も、火山灰や岩片などから形成された角礫凝灰岩(かくれきぎょうかいがん)です。ポツポツと見える穴は角礫が抜け落ちたもので、そこに絶滅危惧種のヒメウが巣をつくります。海鳥の糞により岩肌が白くなったため白岩と呼ばれています。
6.生態系サイト
魚付林として植林された「淀の松原」
地元青年団により、魚付林(うおつきりん)として植林された「淀の松原」。樹齢100年以上のクロマツの林が約3kmにわたり続き、遊歩道が整備されています。ここからの眺めが気に入り、住みついた人がいたという「仙人窟」や、コウモリが生息していた「コウモリ穴」、岩手県宮古市までつながっていると伝わる「地獄穴」などもあります。
7.ジオサイト
海底が隆起した「種差天然芝生地」
波打ち際まで広がる「種差天然芝生地」は、馬の放牧のために形成された芝生の一部。波の侵食によって海面下にできていた海底が、海水面の変動や隆起によって地上に現れた地形で、「海成段丘」と呼ばれます。放牧や海風、湿地、岩場といった独特の環境が独自の生態系を生み出し、650種を超える海浜植物・高山植物を育んでいます。
(休憩)
種差海岸インフォメーションセンター
種差海岸無料休憩所
大地の息吹を感じられる蕪島〜種差海岸〜階上地域。「種差天然芝生地」の目の前にある「種差海岸インフォメーションセンター」には、エリア内の自然を紹介する豊富な展示があり、体験プログラムも行っています。トイレや駐車場、隣にはカフェもあり、休憩スポットとしても利用できる場所です。三陸ジオパークを満喫する拠点としても活用できます。
隣接する「種差海岸無料休憩所」内にある「海カフェたねさし」では、種差海岸にちなんだドリンクや軽食、スイーツなどオリジナルメニューが散策で疲れた体を癒してくれます。また八戸ならではお土産も販売しています。
- 所在地
- 青森県八戸市大字鮫町字棚久保14-167
▶︎MAP - 電話番号
- 0178-51-8500
- 開館時間
- 4〜11月 9:00〜17:00、 12〜3月 9:00〜16:00
- 休館日
- 年末年始
- ホームぺージ
- http://tanesashi.info・https://acpromote.jp/umi-cafe-tanesashi/
8.ジオサイト
マグマが地下で固まってできた岩石「階上岳」
牛が寝そべっているような姿から「臥牛山(がぎゅうざん)」と親しまれる「階上岳」は、「花崗閃緑岩」を中心とした火成岩からできています。8号目の「大開平」までは車で上がることもでき、そこから頂上までは徒歩約30分。頂上からは太平洋や八甲田連峰を望め、山頂では珍しいとされる湧水があります。「龍神水」(りゅうじんすい)と呼ばれ、水の神(龍神)が祀られています。
9.文化サイト
花崗岩の間から流れる「寺下の滝」
階上岳の東の麓にある「寺下観音」は、奥州南部糠部(ぬかのぶ※平安時代後期以降、岩手県北と青森県東部一帯の総称)三十三カ所巡礼一番札所。花崗岩の間から流れる「寺下の滝」があり、川底には花崗岩が風化した砂が堆積しています。一帯には、潮山神社や鎌倉時代に建立されたと言われる観音堂などもあります。
10.文化サイト
日本最古級の灯台「寺下観音灯明堂」
寺下観音から約30分の山道を歩けば、日本最古級の灯台といわれる「灯明堂跡」 に到着する。小舟渡岬付近を航行する船の安全を願い、1729年に建立されたと伝えられます。
11.ジオサイト
海産資源を育てる「階上海成段丘」
階上海岸周辺の地形は、高さ約10〜30mの「階上海成段丘」で、遠浅の岩礁が続く「大蛇(おおじゃ)海岸」や、天然芝が自生する「小舟渡(こみなと)海岸」などから形成されています。この変化に富む海岸地形が、地域の名物である、ウニ・アワビ・ヒラメなど、海産資源を育み、7月下旬には、郷土料理「いちご煮」(ウニとアワビを使った吸い物)がメインの「いちご煮祭り」が開催されます。