紅葉の秋、スポーツの秋、読書の秋。秋になると、冬に備えてさまざまな活動が盛んになっていきますが、個人的にはなんといっても「食欲の秋」こそが、秋の真髄なのではないかと思います。旬のもので満たされたい欲が止まらない、食べても食べても腹が減る、なんて恐ろしい「食欲の秋」……。
そんな私たちの空腹を満たしてくれるオアシスが、八戸圏域にあるのをご存知でしょうか?
北のフルーツ王国、南部町。
青森県八戸市のお隣で、いろんな種類のフルーツ収穫体験が可能です。
フルーツ王国南部町へのアクセスと、収穫体験までの手順。
収穫体験を希望する場合、原則3日前までに〈ながわ農業観光案内所〉へ電話予約をおこないます。予約が完了したら、当日は園に向かう前に〈ながわ農業観光案内所〉に向かいましょう。
三角屋根が目印のログハウスが〈ながわ農業観光案内所〉。
八戸市からは車で約30分。
公共交通機関を利用する場合は、90分から120分ほどかかります。本八戸駅から徒歩で「中心街バスターミナル5番(六日町)」へ移動し、南部バス八戸〜三戸線の三戸営業所方面行きに乗車します。「南部町役場」バス停で下車し、同じくなんぶちぇりバスの医療健康センター行きに乗車。「チェリリン村」で下車し、徒歩で〈ながわ農業観光案内所〉を目指します。
車での移動の方がなにかと便利かもしれませんね。
今回私は車で移動しましたが、道路沿いには数々のフルーツ畑が広がっています。それはまるで某島づくりのんびりライフゲームが再現されたよう……。
豊かな自然と穏やかな空気に満ちたフルーツ王国、それが南部町!
〈ながわ農業観光案内所〉に到着したら、まずは受付を済ませ、体験する農園へ移動します。
今回は、〈小沢田(こさわだ)観光果樹園〉にて、梨、りんご、ぶどうの収穫&その場で食べ放題を体験させていただきました!
※体験場所は参加者が選ぶのではなく、観光案内所の指示にしたがいます。
〈小沢田観光果樹園〉は〈ながわ農業観光案内所〉のすぐ近くでした。園の入口に到着したら、先に支払いを済ませます。
案内を担当してくださったのは、小澤田誠さん。小澤田さんに導かれ、いざゆかん!フルーツの森へ!!
狩り放題! 食べ放題! 梨、りんご、ぶどうを狩りまくろう!
園に入り、まず渡されたのはバケツとフルーツナイフ。バケツに種や皮を入れていきます。
ちなみに、園内は足元がかなり不安定ですので、歩きやすい靴や動きやすい服で行くことをおすすめします。
最初に向かったのは梨園。
〈小沢田観光果樹園〉で取り扱っているのは、「長十郎」「幸水」「多摩」といった品種です。9月から実がなり始め、10月初旬には収穫時期が終わってしまうのだそう。9月の連休のアウトドアにちょうどよさそうです。
さぁ、梨狩りをしていきましょう!
とはいえ、頃合いの判断や、もぎ方など、フルーツ狩りに必要なポイントがまったくわからない筆者一行……。でも大丈夫! 小澤田さんが優しく丁寧に教えてくださいます!
梨は、オレンジ色のものを選ぶとよいのだそう。確かによく見るとひとつひとつ色が若干異なります。梨を優しくつかんだら、上のほうに持ち上げ、枝の付け根の部分からもぎとります。
採れた! 嬉しい!!
「梨は皮に近いほど甘い成分が詰まっているんですよ」と教えてくださった小澤田さん。せっかくなので、皮ごと丸かじりしてみました。
噛んだ途端に、じゅわっと口の中で水分が広がり、乾いた口内を潤してくれます。ジュースかな? と思うほどの瑞々しさ。
梨の皮は手で触るとザラザラした感じがありますが、実際に食べるとあまり気にならなかったです!
続いてりんご園へ。なんと20種類以上の品種を育てています!
りんごは9月から11月上旬まで収穫可能ですが、品種によって収穫時期が異なるのだそう。「つがる」から始まり、「さんさ」、「トキ」、「レッドゴールド」、「世界一」と実がなり、「ふじ」が最後。たくさんの品種の収穫を希望する場合は、10月10日を過ぎたくらいに訪れるのがよいそうです。
今回は、「つがる」や「トキ」、「さんさ」という品種を収穫させてもらいました。
梨と同じように、実をつかんだら、上のほうへひねりながらもぎとります。
ここでもまた皮ごとがぶり。採れたてのりんごはしゃきしゃきでジューシーです。
複数品種があると、食べ比べをしないわけにはいかないでしょう。左は「つがる」、右は「トキ」です。「トキ」のほうが酸味が少なく、甘さが強い印象です。「つがる」はりんごの酸味がほのかに感じられ、果肉のジューシーさが際立ちます。
こうやって比べてみると、品種によって味わいや食感が変わってくるんですね。色が違えば味も違う。みんな違ってみんなうまい!
ところで、よく考えるとりんごって1人で食べ切ることはあまりないですね。勢いよく2種類のりんごをもぎとってみましたが、梨と違って果肉がしっかりしているので、非常に食べごたえがありました。採りすぎると食べきれない可能性がありますので、少しずつもぎましょうね。
ちなみに取材班はみんなで仲良く食べ切りました。
最後はぶどう園へ!
〈小沢田観光果樹園〉では、「キャンベル・アーリー」と「ナイアガラ」が収穫可能です。
ぶどうは、茎の部分をはさみで切って収穫します。
ところでみなさんは、ぶどうをどうやって食べますか?
「ぶどうは飲み物です」
おだやかに、しかしはっきりとそう語るのは小澤田さん。本日の名言です。
多くの方は、実を口に入れたら種を出そうと噛んでしまうと思います。
しかし、ぶどうの種の近くは酸味が強いらしく、皮から実を出したら、ちゅるっと飲み込んでしまうのが良いとのこと。
確かにこれは飲み物です。立ち話をしながらぶどうを口に運ぶ手が止まりません。ぷち、ちゅる、ごっくん。をひたすら繰り返してしまいます。
りんごでけっこう満腹になったはずなのに、ぶどうも止まることなく食べ続けてしまいました。
ちなみに、〈小沢田観光果樹園〉では、今回3種類のフルーツ狩りで1人800円!
なんてリーズナブルなの……!?
昼食や3時のおやつに、ぜひお腹を空かせて行ってみてください!
6月中旬からはさくらんぼ狩りができるのだそう。
農園によっては、りんごの受粉体験や花摘み体験など、りんごの栽培体験ができることもあるようです。
農家さんの生の声を聞きながらお勉強も。
約3ヘクタールの土地を管理している〈小澤田観光果樹園〉。観光用以外の土地を含めると、約4.5ヘクタールにもなるんだとか!
一般的な野球場の広さが約1ヘクタールですから、約4倍もの広さの土地を管理していることになります。農家さんは本当にすごい。
最近では野生の鹿が現れるらしく、鹿よけをするための工夫もしているのだそう。
他にも、狩られなかったフルーツが廃棄になってしまうこと、天候の急激な変化で、せっかくよく育っていたさくらんぼが一気にだめになってしまったことなども伺いました。
私たちは普段、スーパーに並べられているフルーツを購入し、食べることが多いです。フルーツ狩りに来ると、フルーツたちがそこに並ぶまで、たくさんの方が関わっていることを思い出させてくれます。農家さんの生の声を聞くことができるのも、フルーツ狩りの醍醐味ですよね。
南部町では他にも、桃、梅、ブルーベリーなど、春夏秋冬、四季折々の旬のフルーツ狩りを体験できます。
この秋は南部町で、みなさんの食欲を満たしてみませんか?