「三陸復興国立公園」を五感で感じる歩く旅
潮風を感じながら、美しい海沿いを歩くことができる「みちのく潮風トレイル」。山地ではなく、海の間近に伸びる自然歩道を歩けるのは、世界でも珍しいとハイカーからも注目が集まっています。中でも種差海岸階上岳地域は、海にも生活圏にも近く、緩やかな道が多いので、初心者でも歩きやすいのが特徴。海と言っても、砂浜が美しい場所、岩の迫力を感じられる場所、美しい花々を愛でられる場所と、バリエーションも豊富です。全部歩くのは大変……と思わずに、自分の好きなテーマの場所を少しだけ散歩してみれば、今まで感じたことのない、空気や香り、音や景色に出会えるはずです。
「鳴き砂」で知られる「大須賀海岸」は、約2.3kmに渡り砂浜が広がります。散歩できる砂浜としては東北北部最大級。音が鳴るのは、砂に混じる鉱物「石英粒」が擦れる際の振動で音が出るためで、不純物の少ない綺麗な砂浜の証であるとも言われています。歩き切るまで徒歩で約30分。裸足になり、砂をじかに感じながら波音に耳を傾ければ、地球と一体になったかのような気分を味わうことができます。
鮫角から中須賀まで、約2kmに渡るエリアには、海岸の斜面を中心に海岸草原が形成されています。毎年初夏になると咲くニッコウキスゲやノハナショウブなどを始め、650種を超える海浜植物や高山植物の花畑が広がるのが特徴で、海岸沿いであるのにこうした植生をもつのは、夏のヤマセや冬の少雪などの独特な気候の影響を受けているためです。散策時間は約30分。みちのく潮風トレイルを歩きながら、バリエーション豊かな花々を愛でることができます。
青森県で初めて国の天然記念物に指定された蕪島はウミネコの繁殖地として知られていますが、このウミネコの鳴き声は「日本の音風景百選」にも選ばれています。2022年3月8日、蕪島は天然記念物指定100周年を迎え、地元では蕪島やウミネコの保全・保護と活用について改めて考える機運が高まっています。