浜と森の暮らしが育んだ祈りの地を巡る

種差海岸・階上岳地域には、神が祀られる階上岳のほか、海と共に暮らしてきたからこその、言い伝えが残る神社が点在しています。ときに恵みをもたらし、ときに脅威ともなる自然と生きてきた土地。神々が祀られたスポットを巡れば、人々の祈りに思いを馳せることができます。

 

蕪嶋神社

ウミネコの繁殖地として知られる「蕪島」にある「蕪嶋神社」は、商売繁盛・漁業安全の守り神をまつり、ウミネコは漁場を知らせる神の使いとして大切にされています。蕪島の「蕪(かぶ)」と「株」が同じ読みであることから、株価と人望の「かぶ」が上がるご利益があると言われる「かぶあがりひょうたん御守」が人気です。また、神社ではウミネコにフンをかけられた人へ、弁天様のお使いであるウミネコから幸運を授かった証として「会運証明書」を発行しています。

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熊野神社

JR種差海岸駅近くの小高い丘陵にあります。「義経北行伝説」には、平泉を逃れて海路脱出した源義経一行が、種差海岸に上陸し、そこから数百メートル山手に入ったこの神社で休憩したと伝わります。

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厳島神社(弁天島)

広島県・宮島を総本山とする厳島神社が八戸市大久喜にも鎮座しています。ここはかつて島でしたが、現在は大久喜漁港との陸続きになっています。2011年3月に発生した東日本大震災の津波により、3基全ての鳥居が流出しましたが、その一部の笠木が約7,000km離れた米国・オレゴン州の海岸で見つかり話題となりました。その後、オレゴン州ポートランドの方々の思いやりによって、大久喜の厳島神社へ返還・修復され、2016年5月、4年9カ月ぶりに再建された鳥居は「奇跡の鳥居」と呼ばれ、この奇跡の物語は「笠木物語」として知られることとなりました。これにより、日米両国に新たな絆と友情が育まれ、現在、アメリカと日本の太平洋両岸からミニボートを放流し、両地域の小中学生が漂流状況を観測しながら国際交流を図るという企画も行われています。

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塩釜神社

かつて製塩が行われていた金浜漁港の巨岩の上にある塩釜神社は、航海の神・潮路の神といわれる「塩土老翁命(しおつちのおじ)」が祀られています。

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泊川神社

泊川神社には大ダコ伝説が伝わります。昔、この一帯の松林の中に大きな沼がありました。牛や馬、通行人がその沼に住む大ダコに引っ張られて溺死する出来事があり、大ダコを鎮めようと岩の上に建立したのが泊川神社。「タコ神社」と呼ばれ、タコは目が鋭く丈夫なことから眼病にご利益があると言われています。

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寺下観音

階上岳の麓には「観音堂」や「潮山神社」、「寺下の滝」などを総称した霊山一帯を指す「寺下観音」があります。奥州南部糠部(ぬかのぶ※平安時代後期以降、岩手県北と青森県東部一帯の総称)三十三カ所巡礼一番札所で、古くから巡礼の地とされてきました。船の安全を願い、1729年に建立されたと伝わる、日本最古級の灯台「灯明堂跡」もあります。「義経北行伝説」では、この灯明堂に登る参道に、「弁慶の一刀石」「牛若弁慶相撲取り石」という岩があり、さらに寺下観音には、弁慶が書写したという「大般若経」六百巻のうち五七六巻が遺されています。

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階上岳

頂上からは太平洋や八甲田連峰を望め、牛が寝そべっているような姿から「臥牛山(がぎゅうざん)」とも呼ばれる「階上岳」。山頂では珍しいとされる湧水は「龍神水」(りゅうじんすい)と呼ばれ、水の神(龍神)が祀られています。

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